世界中でプレーされているサッカー。中には「こんな場所で!?」と驚くような場所に存在するスタジアムがある。
ここでは、世界でも貴重な4つの“クセスゴ”スタジアムを紹介したい。
ヘニングスヴァール・シュタディオン(ノルウェー)
ノルウェー北部、ロフォーテン諸島アウストヴォーグ島にあるヘニングスヴァール・シュタディオンは、フィヨルド(氷河が浸食したことにより複雑な地形となった湾や入り江)の上に建つ。人工芝ながら、その絶景は、そのまま絵はがきにしたいほどだ。
ノルウェー4部のFKロフォーテンの練習場として使用されるだけではなく、子どもたちにも開放され、地元の観光名所でもある。人口約500人ほどの漁村らしく、ピッチサイドには水揚げされたタラを塩漬けするための棚が並んでいる。ナイター施設も備えているものの、観客席はない。
FIFA(国際サッカー連盟)の公式サイト上でも「世界で最も美しいサッカースタジアム」と紹介され、ドローンで空撮された動画がネット上に流れたところ、1週間で30万回以上も再生された結果、観光名所となった。
ノルウェーといえば、夏場には日が沈まない「白夜」がある。夜10時頃には日没を迎えるが、真っ暗にはならない。夏は昼夜を問わず、24時間サッカーが楽しめるスタジアムだ。
エスタディオ・エルナンド・シレス(ボリビア)
ボリビアの首都ラパスにあり、ボリビア第31代大統領のエルナンド・シレス・レイェス氏の名を冠した事実上の“国立競技場”で、収容人員45,000人を誇るエスタディオ・エルナンド・シレス。3クラブ(ザ・ストロンゲスト、クルブ・ボリバル、ラパスFC)が本拠地とし、ボリビア代表もFIFAワールドカップ(W杯)南米予選の会場としている。
その標高はなんと3,577メートル。ほぼ富士山(3,776メートル)の山頂と同じだ。ここでアウェイ戦に臨む南米の他の代表チームは、相手だけではなく酸欠とも戦うことになる。気圧が低いことで、ミドルシュートが面白いように決まるスタジアムとしても有名だ。
2007年にFIFAが「このスタジアムに来る選手が高地順応を余儀なくされ、公平さに欠ける」とした他国からの抗議を受け入れ、「標高2,500m以上のスタジアムで試合をしてはいけない」と発表。当時のエボ・モラレス大統領を筆頭に、ボリビア連盟側はこの決定に猛抗議。モラレス大統領がボリビア最高峰のサハマ山(標高6,542メートル)の山頂でプレーするなど体を張ったアピールが実り、FIFAは標高の制限を3,000mに引き上げた。
また、ボリビア国内の他のスタジアムも特例として、W杯予選会場として認めるに至った。今年9月6日、2026中南米W杯の南米予選では、2017年にオープンした「エスタディオ・ムニシパル・デ・エル・アルト(エル・アルト市営スタジアム)」にベネズエラ代表を迎えたボリビア代表が4-0で圧勝。そのスタジアムはさらに標高が高く、なんと富士山超えの4,150メートル。当然ながら、現時点で世界一標高が高いサッカースタジアムだ。
W杯の南米出場枠「6.5」の中にあって、現在7位に位置しているボリビア。1994年のアメリカW杯以来となる4回目の本戦出場へ向けて、これ以上ない“ホームアドバンテージ”となりそうだ。
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