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超短期決戦!2026年Jリーグ特別大会「0.5シーズン」の楽しみ方

Jリーグの審判 写真:Getty Images

J2・J3リーグ特別大会の見どころは下剋上

J2・J3リーグ特別大会は、その名の通りJ2クラブとJ3クラブを混在させた総40クラブによる争いだ。地域リーグラウンドは、地域ごとに各10チームの4グループに分けられ、それぞれがホーム&アウェイで順位を争う。延長戦なしでのPK戦決着、J2・J3・JFLとの昇降格なし、「勝点1ごと」「最終順位ごと」に特別助成金(総額6億円)が払われる点は、J1リーグ特別大会と同様だ。ただJ2とJ3全40クラブが参加するため、その総試合数は地域リーグラウンドだけで400試合となる。

J1リーグ特別大会が優勝、そしてACLE出場権を争う戦いである一方、こちらの見どころは下克上だ。J2とJ3の壁を撤廃して行われるとあって、当然ながらJ3クラブはJ2クラブを負かして1つでも上の順位を目指し、1円でも多くの賞金を得ようと選手にハッパを掛けるだろう。選手としても、このシーズンは“個人昇格”のチャンスでもあるのだ。

プレーオフラウンド1回戦では、各グループの同順位同士の4チームで1試合のノックアウト方式で試合を行う。2回戦は1回戦の勝利クラブ同士、敗戦クラブ同士が対戦し、最終順位を決定。こちらもJ1特別大会同様、延長戦、PK戦ありのルールだ。ノックアウト方式を採用したことによって、番狂わせが起きやすく、特にJ3クラブのサポーターにとってはワクワクするようなレギュレーションとなっている。

J1リーグ特別大会とJ2・J3リーグ特別大会双方にいえることだが、地域リーグラウンドでは90分で勝敗がつかなければ即PK戦となるため、最後まで勝敗が予測できない。PK戦の緊迫感を楽しむことができ、プレッシャーに晒された選手のパフォーマンスにも注目される。

また、地域リーグラウンドでは「90分勝利=勝ち点3」「PK戦での勝利=2」「PK戦での敗戦=1」「90分敗戦=0」という設定により、リスクを取って攻撃的な戦術を採用するのか、守り切ってPK戦に持ち込み勝ち点を稼いでいくのか、監督それぞれの勝負に対する考え方を知るきっかけともなるだろう。


新時代を迎えるJリーグに向け

2026シーズンの特別大会は秋春制移行の準備期間として開催されるため、各クラブが新時代を迎えるJリーグに向け、どのような戦術や選手起用を試みるかを観察する楽しみがある。また、若手の台頭や、外国人選手を含めた新加入選手をフィットさせる期間に充てることもでき、秋春制で行われる新シーズンへの期待を、サポーターに示すことができる。

元はといえば秋春制への移行は、欧州とのカレンダーに合わせるためのもの。もちろん、クラブにとっても特別大会が重要になることは言うまでもないが、欧州移籍を目指す選手にとってこの「0.5シーズン」は海外スカウトへのアピールも兼ねたショーウインドーでもある。こうした視点で変則シーズンを楽しむのも一興だろう。

これまでのJリーグとは全く異なるレギュレーションで行われる特別大会。結果はどうあれ、日本サッカー史に残るシーズンとなることは間違いない。この機会にしか見られないスリリングな試合を存分に楽しみたいところだ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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