Jリーグ

“魔物”が棲んでいたJ1昇格プレーオフ準決勝。長崎と山形はなぜ敗れたのか

モンテディオ山形 写真:Getty Images

不運だった山形の現在地

一方、リーグ戦終盤、怒涛の9連勝でプレーオフ圏内に滑り込んだ山形は、最終節からプレーオフまで3週間もの期間が空いてしまったことで、勢いが削がれてしまったのは不運だった。J1昇格プレーオフ準決勝岡山戦では、前半に2失点したことで完全に浮き足立ってしまい、後半9分には焦りからDF川井が一発退場。さらに失点を重ね、スコア通りの完敗だった。

夏の移籍期間に、地元出身のMF土居聖真が鹿島アントラーズから完全移籍で加入したことがきっかけで快進撃が始まった山形だが、純国産チームとあって、今オフに他クラブから引き抜きに遭うことは少ないと考えられる。

継続性の観点では、続投なら来季3シーズン目を迎える渡邉晋監督の下、より洗練されたサッカーを披露するだろう。2桁得点がFW高橋潤哉(11点)1人だったことから、願わくば点取り屋タイプの選手が欲しいところだ。


ベガルタ仙台 写真:Getty Images

J1昇格プレーオフ決勝、岡山vs仙台

そして12月7日に行われるJ1昇格プレーオフ決勝。J1初昇格まであと1つの岡山が、V候補に圧勝し勢いに乗る仙台をホームのシティライトスタジアムに迎えて対決する。2006年創立以来の悲願を目の前にする岡山に対し、4年ぶりのJ1復帰を目指す仙台という対照的な立ち位置のクラブによる一戦だが、再び劇的展開が待っているのか。

昨2023シーズンのJ1昇格プレーオフ決勝、東京ヴェルディ対清水エスパルス(2023年12月2日国立競技場1-1/レギュレーションにより東京Vが昇格)では、後半アディショナルタイムでのPK判定で、清水が天国から地獄に突き落とされた。

岡山のホーム「シティライトスタジアム」は、竣功当初は「桃太郎スタジアム」の名で親しまれ、のぞみも停車するJR岡山駅から徒歩圏内だ。J1昇格となれば、J1クラブのサポーターも大挙遠征してくることが予想され、市街地も活気付くだろう。

一方、仙台は来季、ユアテックスタジアム仙台の芝生張替工事のため6月末まで、2002年ワールドカップ日韓大会で日本代表がラウンド16でトルコ代表に敗れたことでも知られる収容人数約5万人の東北最大スタジアム「キューアンドエースタジアムみやぎ(宮城スタジアム)」を使用することになる。J1に昇格して、そのキャパシティーに相応しいクラブを目指すことは当然のことだ。

それぞれが最大級のモチベーションをもって臨むことに加え、サッカーの神様の“いたずら”が今回も出現するのか、見逃せない一戦だ。

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名前:寺島武志

趣味:サッカー観戦(Jリーグ、欧州5大リーグ、欧州CL・EL)、映画鑑賞、ドラマ考察、野球観戦(巨人ファン、高校野球、東京六大学野球)、サッカー観戦を伴う旅行、スポーツバー巡り、競馬
好きなチーム:Jリーグでは清水エスパルス、福島ユナイテッドFC、欧州では「銀河系軍団(ロス・ガラクティコス)」と呼ばれた2000-06頃のレアルマドリード、当時37歳のカルロ・アンチェロッティを新監督に迎え、エンリコ・キエーザ、エルナン・クレスポ、リリアン・テュラム、ジャンフランコ・ゾラ、ファビオ・カンナヴァーロ、ジャンルイジ・ブッフォンらを擁した1996-97のパルマ、現在のお気に入りはシャビ・アロンソ率いるバイヤー・レバークーゼン

新卒で、UFO・宇宙人・ネッシー・カッパが1面を飾る某スポーツ新聞社に入社し、約24年在籍。その間、池袋コミュニティ・カレッジ主催の「後藤健生のサッカーライター養成講座」を受講。独立後は、映画・ドラマのレビューサイトなど、数社で執筆。
1993年のクラブ創設時からの清水エスパルスサポーター。1995年2月、サンプドリアvsユベントスを生観戦し、欧州サッカーにもハマる。以降、毎年渡欧し、訪れたスタジアムは50以上。ワールドカップは1998年フランス大会、2002年日韓大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会を現地観戦。2018年、2022年は日本代表のラウンド16敗退を見届け、未だ日本代表がワールドカップで勝った試合をこの目で見たこと無し。
“サッカーは究極のエンタメ”を信条に、清濁併せ吞む気概も持ちつつ、読者の皆様の関心に応える記事をお届けしていきたいと考えております。

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