プレミアリーグ ノッティンガム・フォレスト

好調ノッティンガム・フォレストの野望【プレミアリーグ2024/25】

松木玖生 写真:Getty Images

マルチクラブオーナーシップの利点

前述したように、マリナキス氏はフォレストだけでなく複数のサッカークラブを保有している。マルチクラブオーナーシップと呼ばれるこのアプローチは今やサッカー界では当たり前になりつつある。

横浜F・マリノスが入っていることでも知られている、シティを頂点とするシティ・フットボール・グループ。最近、大宮アルディージャを買収したことで話題となったレッドブル・グループなどが有名だ。プレミアリーグでは他に、マンチェスター・ユナイテッド、ブライトン・アンド・ホーブ・アルビオン、ボーンマス、サウサンプトンなどのチームがこのアプローチをとっている。

このアプローチの利点は多岐にわたるが、重要なポイントの一つがスカウティングと選手育成だろう。世界中のクラブを保有することで、スカウト網が強化されるだけでなく、複数のレベルのクラブを保有することで選手育成も効果的に行うことができる。その一例がサウサンプトンに移籍したMF松木玖生だ。

サウサンプトンに移籍した松木は労働ビザの問題で1年間、トルコ1部ギョズテペにレンタルで出されることになった。このギョズテペがサウサンプトンのオーナーが保有するクラブである。松木については労働ビザの問題だったが、一定のレベルに達していないと判断された選手をレンタルに出すのは一般的なことだ。この時、情報を共有しやすい保有するクラブに貸し出すことで、選手を管理しやすく効率的に育成することができる。


ムリージョ 写真:Getty Images

ブラジルとの繋がり強化も

マリナキス氏はさらに新たなクラブの買収に動くようだ。『The Telegraph』によると、マリナキス氏はブラジルのヴァスコ・ダ・ガマとの交渉に既に入っているらしい。そして、このプロジェクトで重要な役割を担うだろうと予想されているのが、今月4日にアーセナルのスポーツディレクターを辞任したブラジル人エドゥ氏である。

ブラジルのコリンチャンスから加入したDFムリージョは守備を牽引する存在であるだけでなく、多くのビッグクラブから注目を集める人気選手でもある。他にも、MFダニーロなどブラジルからの選手はフォレストにとって、幾つかのポジティブな結果をもたらしてきた。さらなる、ブラジルとの繋がりの強化は多くの才能ある選手をフォレストにもたらすことになるだろう。


プレミアリーグ 写真:Getty Images

これからのフォレスト

今シーズンの結果にもよるが、フォレストも長期的なプロジェクトがより重要になってくると考えられる。大型補強によるチーム強化に限界があるのは、見てきた通りだ。

さらに、中堅もしくはそれより下のクラブにとっての問題は、常に選手が引き抜かれることである。例えば、攻撃の中核を担うギブス=ホワイト、守備の中心人物ムリージョの移籍の噂は絶えない。引き抜かれるのは時間の問題だろう。

しかし、引き抜かれた時、同じくらいのクオリティの選手を毎回獲得するのは現実的ではない。であるならば、スカウトと育成のシステムによって、タレントを生み出すことが重要になる。それが、言うほど簡単ではないことは百も承知だが、エドゥ氏の存在やマルチクラブオーナーシップの可能性に期待したい。また、これらのプロジェクトには、マリナキス氏にこれまで見られなかった忍耐力が重要になる。その点についても注目したい。

ページ 2 / 2

名前:SS

趣味:読書(漫画も含む)ゲーム
好きなチーム:バルセロナ
好きなサッカー漫画は「Days」。よろしくお願いいたします。

筆者記事一覧