DF福森晃斗の動向が大きなウエイト
気になるのは来2025シーズンの横浜FCの陣容だが、前節終了時点でJ2では圧倒的な14アシストを記録しているDF福森晃斗の動向が大きなウエイトを占めている。最終節でもFK、CKのシーンでは、その存在だけで山口イレブンの脅威となっていた。
レンタル元である北海道コンサドーレ札幌での福森は、2022、2023シーズンにわたり先発から外れることも多かった事情もあったとはいえ、その正確無比な左足は大きな武器だったはず。その札幌が現在、第34節終了時点で19位と、J1残留へ危機的状況にあることからも、その穴の大きさが分かる。
福森は横浜FCで、高校(桐光学園)の大先輩でもある中村俊輔コーチと出会ったことで、その左足により一層磨きがかかり、31歳にしてキャリアのピークを迎えたかのような活躍ぶりを見せた。
2015シーズン、福森が川崎フロンターレから札幌に移籍したタイミングで、四方田監督が札幌の監督に途中就任し、両者が師弟関係にあること。福森自身が神奈川県藤沢市出身であることで、本人も残留を希望するだろうし、横浜FC側も完全移籍に動くだろう。
しかし、レンタル先で復活した福森を札幌が放っておくはずもなく、仮にJ1に残留できたとしても、レンタルバックを求めてくることは間違いない。もし今オフ、横浜FCが福森を手放さざるを得なくなれば、来季のチーム編成を根底から見直す必要に迫られる。
他にもスタメンに名を連ねることが多い主力のFW髙橋利樹(浦和レッズからのレンタル)、MF中野嘉大(湘南ベルマーレからのレンタル)の去就も気になるところだ。
今季の横浜FCは、MFユーリ・ララ、FWカプリーニ、さらにはシーズン途中に加入したFWジョアン・パウロらの外国人選手が“当たり”だったことも大きかった。彼らが残留すればJ1でも引けを取らない戦いが期待できる上、U-18プレミアリーグEASTで優勝争いしているユースから昇格してくる若い力も加わる。
とはいえ、所属選手のほとんどが、前所属チームで出番を失ったことで横浜FCに流れ着いた“寄せ集め集団”であることに変わりはない。
J1残留を可能にできるかどうかの生命線
横浜FCの親会社「ONODERA GROUP」は、「立喰鮨 銀座おのでら」などのフードサービスを軸とし、メディカル事業やシニアライフ事業を展開。その中のスポーツ事業として、横浜FCのみならずポルトガル2部のUDオリヴェイレンセSADのオーナーとなるなど、グローバルな多角化経営を進めている。
2021年から2024年にかけて、豊洲市場の初競りで一番マグロを競り落としたことでも話題になった同社のグループの代表取締役会長兼社長・小野寺裕司氏は、学校や病院の給食、企業の食堂などの運営から始まり、各地の病院給食の管理・運営会社を次々と買収。現在ではグループ売上高1300億円、グループ社員数2万7000人(いずれも2024年4月1日現在)にも上る。
横浜FCを運営する「株式会社横浜フリエスポーツクラブ」も、そのグループの1つなのだが、トップである小野寺氏が“その気”になれば、大型補強も可能なポテンシャルを秘めているのだ。
来季、横浜FCが現実的な目標であるJ1残留を可能にできるかどうかの生命線となるのは、所属チームで控えに甘んじている有力選手を見出し、四方田監督の下で再生できるかがポイントの1つだが、本気でエレベータークラブから脱しようと思うならば、オーナー企業の金庫を開けさせることも重要になってきそうだ。
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