東京ヴェルディ:城福浩監督
評価:★★★★★/続投可能性:90%
昨2023シーズン、J1昇格プレーオフで勝ち抜き、16季ぶりのJ1昇格を果たした東京ヴェルディ。下馬評を覆して早々にJ1残留とシーズン勝ち越しを確定させ、これほどまでに躍進するとは他サポーターは思ってもみなかっただろう。昇格組としては、どうしても町田の快進撃に目を奪われがちだが、東京Vも賞賛に値する成績を残している。
リーグ戦初勝利は第6節の湘南ベルマーレ戦だったが、とにかく負けないサッカーで積み上げた引き分けの数は、35節終了時点で実に「12」。得失点差も「+1」という堅実さだ。序盤は、大量得点したかと思ったら次戦には大量失点するなど粗の目立つチームだったが、中盤以降はロースコアゲームをモノにするしぶとさを身に着けていく。
JFLの富士通川崎(1996)から、FC東京(2008-10、2016)、ヴァンフォーレ甲府(2012-14)、サンフレッチェ広島(2018-21)と、Jでの指導経験も豊富な城福浩監督に導かれ、有望な若手を中心に試合を追う毎に成長していった東京V。有力選手が引き抜きに遭う可能性もあるが、充実した下部組織から新たな才能が出てくるのがこのクラブの特長でもある。そして、その特長を生かす指揮官の続投こそが、東京V最大の“補強”といってもいいだろう。
町田ゼルビア:黒田剛監督
評価:★★★★★/続投可能性:100%
町田ゼルビアが今季最大のサプライズを起こしたクラブであることに異論はないだろう。黒田剛監督は明確なゲームプランを持ち、それを選手に遂行させる能力はJ1随一だ。終盤に息切れしたものの、中盤戦までは首位を独走し、Jリーグ初の「J1初昇格即初優勝」という夢をサポーターに示した。
その言動によって、“嫌われキャラ”が定着してしまったきらいがあるものの、サッカーに対するビジョンと、選手の能力を発揮させる手腕は特筆に値する。
11月8日、来季続投が発表された。不安要素としては、J2時代から右腕として黒田監督をサポートしてきた金明輝ヘッドコーチに福岡の次期監督オファーが届き、「就任は決定的」とも報じられていることだ。仮に金ヘッドが流出となれば、Jでの経験のあるヘッドコーチを新たに招聘する必要に迫られる。
黒田監督が理想とするサッカーとは、「ボールを高い位置で奪い、最短距離でゴールへ向かう」というものだが、この考えに共鳴する指導者が果たしているのかどうか、難しい作業となる。加えて、ピッチ外の騒動によって、現在フリーの身であっても「このクラブとだけは関わりたくない」と考える指導者もいるだろう。黒田監督自身の指導力は疑うべくもないが、その戦術を選手に落とし込み、試合で遂行させるヘッドコーチの人選が、来季の町田の生命線と言える。
川崎フロンターレ:鬼木達監督
評価:★★☆☆☆/続投可能性:0%
10月16日に、今季限りの退任が発表された川崎フロンターレの鬼木達監督。J1優勝4回(2017、2018、2020、2021)、ルヴァン杯優勝1回(2019)、天皇杯優勝2回(2020、2023)という黄金時代を築いただけあって、後任監督選びのハードルは自ずと上がってしまうことは致し方ないだろう。
所属選手が次々と欧州に渡ってしまいながらも、チーム力を大きく落とすことなく結果を残し続けたものの、さすがに今季の選手層で「優勝しろ」というのは酷な話だった。
チームは今、端境期にあり、その中からユース育ちでパリ五輪にも出場したDF高井幸大や、35節終了時点で15得点を記録している新エースのFW山田新といった新星も現れた。しかし、勝つことに慣れ過ぎたサポーターから見れば、中途半端な名前では満足できないだろう。
OBに目を転じれば、J3福島ユナイテッドを指揮し、昇格プレーオフ争いを演じている寺田周平監督や、S級ライセンスを取得したばかりのクラブのレジェンドである中村憲剛氏、さらには水面下で前アビスパ福岡の長谷部茂利監督を巡って、FC東京と争奪戦を繰り広げているという噂もある。2017年にフロント入りした竹内弘明GMにとって初めての監督選びとなるが、失敗が許されない大仕事とあって、胃が痛い日々を送っていることだろう。
横浜F・マリノス:ジョン・ハッチンソン監督
評価:★★☆☆☆/続投可能性:10%
今2024シーズンの7月、ハリー・キューウェル監督の解任に伴い、内部昇格の形で横浜F・マリノス監督に就任したジョン・ハッチンソン監督。しかしチームの調子が上向くことなく、2桁順位でシーズンを終えようとしている。ハッチンソン監督も今季限りでの退任が濃厚だ。
横浜FMでは、2015シーズンに就任したエリク・モンバエルツ監督以来、アンジェ・ポステコグルー監督(現トッテナム・ホットスパー監督)、ケヴィン・マスカット監督(現上海海港監督)、そしてキューウェル監督と、シティ・フットボール・グループに属しているメリットを生かした外国人監督の招聘が続いていることから、再びシティグループが推す攻撃的サッカーを志向する外国人が指揮する可能性が高いだろう。
湘南ベルマーレ:山口智監督
評価:★★★☆☆/続投可能性:80%
一時は降格圏内にいたものの、終盤戦の驚異的な追い上げでJ1残留をほぼ確定させた湘南ベルマーレ。2021シーズンから指揮している山口智監督だが、長期政権である一方、毎年のように残留を争っている状況に、サポーターの“このままでいいのか”という思いも募っている。
元々、監督をコロコロ変えるクラブではなく、クラブ初タイトル(2018ルヴァン杯)をもたらした曺貴裁監督(現京都サンガ)に至っては、約8年(2019シーズン途中にパワハラ行為が発覚し退任)にも及んだ。監督選びにおいても、いい意味で身の丈に合った人選で、残留という現実的な目標に軸足を置いている印象がある湘南。気が付けば、7シーズン連続でJ1に居続けている。
山口監督自身、現役時代は湘南でプレーしたワケでもなく、以前に所属していたガンバ大阪(2016-20)でもヘッドコーチとして、当時の宮本恒靖監督(現日本サッカー協会会長)をサポートする立場だった。
残留を果たしたことで、与えられたタスクは果たした山口監督の続投可能性は高いだろう。そもそも大物監督を招聘しようにも、“先立つものがない”クラブでもある。来季も浮き沈みしながらも、しぶとく残留するようなチームとして存在感を示していくのではないか。
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