Jリーグ ベガルタ仙台

元仙台FWグエン・スアン・ソンが躍動。ACL2開幕戦で勝利に貢献

グエン・スアン・ソン(ラファエルソン)写真:Getty Images

 AFCアジアチャンピオンズリーグ2(ACL2)2024/25が9月17日に開幕した。翌18日にはグループGの第1節が行われ、ベトナム王者ナムディンが、アウェイで香港の理文に2-0で快勝し白星発進となった。この試合では、2季連続Vリーグ得点王のブラジル人FWラファエルソン(元ベガルタ仙台)が2ゴールに絡む大活躍。また元V・ファーレン長崎のブラジル人MFカイオ・セザールもフル出場で勝利に貢献した。

 2020年からベトナムでプレーしているラファエルソンは、現在ベトナム国籍取得に向けた準備を進めており、近く正式に帰化が承認される見通し。今季はVリーグでの登録名をベトナム名の「グエン・スアン・ソン」に変更し帰化枠での登録となっている。

 Vリーグは今季からアジアサッカー連盟(AFC)およびASEANサッカー連盟(AFF)の主催大会に出場する各チームの外国人枠を最大6人(3+3)に拡大した。これに加え、越僑枠(ベトナムにルーツを持つ外国人選手のうちベトナム国籍を持たない選手)を最大2人、帰化枠(ベトナムにルーツを持たない帰化選手)が最大1人まで登録可能。ただし、通常の外国人選手については公平を期すため、国内リーグでは1試合で最大3人までしか登録できないことになっている。

 今季のナムディンはAFC出場チームの特例により、ブラジル人選手5人、ウガンダ人選手1人、そして帰化枠でグエン・スアン・ソンを登録。ACL2初戦の理文戦では、この7人が初めて揃ってスタメン出場した。強力なブラジル人選手らを擁するナムディンは27分、MFルーカス・シルバのシュートのこぼれ球からFWラファエルソンが決めて先制。後半はホームの理文が盛り返して苦戦を強いられたが、73分にラファエルソンのシュートのこぼれ球を、今度はルーカス・シルバが押し込んで追加点。ナムディンが敵地で2-0の快勝となり、幸先の良いスタートを切った。

 ラファエルソンの帰化については、ベトナム国内のファンだけでなく他の東南アジア各国も注視している。ベトナム代表は長い間、「純血主義(あるいは半純血主義)」を貫いており、ロシア系のGKダン・バン・ラム(元セレッソ大阪)やチェコ系のGKグエン・フィリップなどのハーフを除いて、ベトナム人の血が入っていない帰化選手たちを頑なに招集してこなかった。

 しかし近年、インドネシアやフィリピン、タイをはじめとする東南アジア各国では、ヘリテージ型帰化選手で代表チームを強化する動きが顕著となっており、ヘリテージ型帰化選手(ベトナムにとっては越僑選手)の資源が少ないベトナムは、ラファエルソンのようなブラジル出身の帰化選手に門戸を開く必要性に迫られている。大柄な外国人選手が前線に起用され、ストライカーが育ちにくいベトナムでは、代表チームの決定力不足が以前から課題となっている。「グエン・スアン・ソン」の招集は、一時的とはいえ、ベトナム代表が長年抱える問題の解決に繋がると期待されている。