ドイツで開催中のUEFA欧州選手権(ユーロ2024)は、日本時間7月7日に準々決勝4試合を終えて、4強が出揃った。勝ち上がったスペイン代表、フランス代表、イングランド代表、オランダ代表はいずれもヨーロッパのサッカー大国であり、多少の番狂わせはあったがほぼ順当に進出したといえるだろう。
ここでは大会を振り返り、大きな番狂わせで旋風を巻き起こしたスイス代表、スロバキア代表、スロベニア代表、ジョージア代表にスポットを当ててみたい。
スイス(FIFAランキング19位):イタリアを撃破しドイツ・イングランドとドロー
スイスはグループAで、ハンガリー代表に3-1で勝利し、スコットランド代表と1-1のドロー。そして開催国で過去に4度優勝しているドイツ代表(FIFAランキング16位)を相手にした試合では、28分にFWダン・ンドイ(ボローニャ)が先制点を決める。あわや”ジャイキリ”かと思われた90+2分に、ドイツFWニクラス・フュルクルク(ボルシア・ドルトムント)が得点し、土壇場でドロー(1-1)に持ち込まれた。
これにより、スイスは1勝2分、勝点5のグループ2位でノックアウトステージに進出。ラウンド16では、前回王者イタリア代表(FIFAランキング10位)と対戦。セリエAでプレーするMFレモ・フロイラー(ボローニャ)が37分に先制すると、MFルベン・バルガス(アウクスブルク)が46分に追加点を入れ2-0の完勝。「王者敗退」のニュースが世界を駆け巡ることになった。
そして準々決勝ではイングランド代表(FIFAランキング5位)と対戦し、またも先制したスイス。75分にエースストライカーのFWブレール・エンボロ(モナコ)が得点すると、慌てたイングランドイレブンの顔がみるみる蒼白の度合いを増していく。80分にイングランドMFブカヨ・サカ(アーセナル)が同点弾を決めると延長戦でも決着がつかず(1-1)、PK戦(3-5)の末に敗れた。
スイスは、前回大会と同じ史上最高成績の8強進出となった。ビッグネームの選手が決して多いわけではないなかで、連携を高めてチームをまとめ上げたムラト・ヤキン監督の手腕は確かだ。
スロバキア(FIFAランキング45位):ベルギーに勝利し史上初の16強。準々決勝進出まであと2分
スロバキアはグループEで、ベルギー代表(FIFAランキング3位)を相手に7分にイバン・シュランツ(スラビア・プラハ)が先制すると、そのまま1-0勝利。ウクライナ代表との試合は1-2で落とすも、ルーマニア代表とは1-1で引き分けた。
1️勝1分1敗、勝点4のグループ3位でノックアウトステージに進出し、ラウンド16ではイングランド代表(FIFAランキング5位)と対戦した。25分にシュランツが先制すると守りを固める。大相撲の「立ち合い」「がっぷり四つ」「押し倒し」「引き倒し」並みの技を次々と繰り出し、フィジカルの強いイングランドを肉弾戦で退け続ける。そして大金星かと思われた90+5分に劇的な同点弾を許すと、延長戦に突入した91分に逆転を許して敗れた(1-2)。試合終了のホイッスルとともにキャプテンのシュランツは、ピッチにあお向けになると、しばらく起き上がれなかった。
スロバキアの人口は、約546万人で兵庫県とほぼ同じだ。人口が約10倍のイングランドを相手にアディショナルタイムまでリードし「あと2分で8強」というところまで追い詰めた。スロバキアは、チェコとの連邦制解消後、過去最高となるベスト16で大会を終えた。
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