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【独占】三好康児「最終目標はW杯優勝です、もちろん」インタビュー後編

三好康児(北海道コンサドーレ札幌所属時)写真:Getty Images

日本、ベルギー、イングランドのサッカーの違い

ーJリーグ、ベルギー、イングランドと経験されて、何が違うと思いますか?

三好:やっぱりサッカーの違いは大きいです。自分が入ったチームなんか特にそうでしたけど、Jリーグはボールを握ってビルドアップ。キーパーからどう相手を崩していくかみたいな。インテンシティの高い試合もありましたが、今思えばそんなに高くなかったかなって。どちらかというと、どうボールを握って相手を攻略していくかみたいなことを考えることが多かった。

ベルギーに行くとチームにもよりますけど、アントワープに入った時なんかはアフリカ人ばっかりで、全部のボールを蹴ってヘディングで勝って、僕はなんとかそれを拾ってという感じで。「これもまたサッカーだよな」と思いつつ、でも何故か分からないけど全然走らないフォワードが毎試合点を取るみたいな。サッカーって面白いなって改めて思わされました。

チャンピオンシップなんかは特に縦に速い。常に攻守入れ替わるようなサッカーで、自分たちがチャンスでゴールを決めるか決めないかという場面だと思っているうちに気付いたら失点してる(笑)。だからやってても面白いし、見ている方も面白いと思います。トランジションの部分の戦いはイギリスっぽいなって。プレミアはそこに強度と質が加わっている。チャンピオンシップでサッカーをしているからこそ、プレミアでやっている選手はすげーなって思います。


三好康児(日本代表)写真:Getty Images

怪我をしていなくても難しかったカタールW杯

ー左膝の前十字靭帯損傷でカタールW杯への出場は叶いませんでした。そのときの気持ちを教えてください。

三好:もちろん悔しかったですけど、じゃあ怪我をしていなかったら自分がワールドカップに出ていたのかと言われるとそれも難しかったんじゃないかと思っているんです。だからどっちにしろ悔しい大会にはなっていたと思います。今もそうですけど、別に代表に絡めている選手ではないので。

でも怪我をしてしまったタイミングと重なったことで、サッカーができない時期に大会を見ていた悔しさもあり、一緒にやっていた選手が出てるから応援している気持ちもあって「負けられないな」という良い意味で自分のリハビリのモチベーションになってましたね。

ー代表への思いは常に?

三好:もちろん、自分がサッカーを目指した理由がまず「ワールドカップへの出場」なので。代表への想いが常に自分を奮い立たせてくれます。もちろんクラブでやっている時はクラブに集中していますけど、その先に代表っていうのがあると思っているので。

自分に声がかかるようにまず活躍したいですし、そのタイミングが来れば実力を発揮できるように常にやっていきたいと思っています。毎回インターナショナルマッチウィーク(の代表活動)で自分が選ばれるチャンスがつかめるように、チームでやるしかないなと思っています。

ー今年で27歳ですが、キャリアで成し遂げたい夢やゴールは?

三好:やっぱりチャンピオンズリーグ(CL)に出たいですね。やっぱりヨーロッパでやっていたらそうなってきますよね。最終目標は「ワールドカップ優勝」です、もちろん。


インタビュー中の三好康児(左)写真:Matt O’Neil

あとがき

三好とのインタビューは筆者にとって格別な思い入れがある。川崎市出身の三好と同様、筆者も川崎市で生まれ育ったからだ。川崎フロンターレのサポーターでもある筆者にとって、三好が「アカデミー史上最高傑作」と呼ばれる理由とその意味の重みも十分に理解しているつもりだ。

そんな三好への取材を通していつも驚かされるのは彼の平常心だ。試合後の取材では勝っても負けても常に同じように明るく丁寧に振る舞う三好の姿が印象的だったが、これも川崎のアカデミー時代に培われたものなのだろう。結果に関わらず平常心を保てるからこそ、安定して質の高いプレーを披露できているのかもしれない。そしてバーミンガムへの移籍について「全く迷いはない」という力強い言葉を聞き、並々ならぬ覚悟を持って彼がイングランドに挑戦していることを明確に感じた。

バーミンガムは2024年3月現在、3部リーグへの降格圏ギリギリにまで沈んでいるが今シーズンから経営に参入した米投資企業オーナーのもと、来季はプレミア昇格に向け本格的な大型補強に乗り出すと見られている。2023シーズンのJ2リーグを町田ゼルビアが制覇したように、三好が中心となった新生バーミンガムがチャンピオンシップを席巻し、2012年以来となる悲願のプレミア昇格を果たすのも決して遠い夢物語ではなさそうだ。川崎で名を馳せた「アカデミー史上最高傑作」の活躍に是非とも期待したい。

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名前:Shun Ide
趣味:サッカーのプレイと観戦、サカナクション、料理研究、犬の芸仕込み
好きなチーム:川崎フロンターレ、コヴェントリー・シティFC

イギリス在住。イングランドのフットボール情報を現地からお届けします。

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