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【独占】坂元達裕の這い上がり力「苦境越え海外挑戦へ」インタビュー前編

コヴェントリー・シティ MF坂元達裕 写真:Troy Grant Media

就活かサッカーか、進路選択の重圧

大学でサッカーをしている学生なら誰もが通る道かもしれないが、4年生になった坂元は就職するかサッカーを続けるかの選択を迫られ、大きなプレッシャーを感じることになる。

大学4年次は就職活動を始めるかどうかを決める大事な時期だと思いますが。

坂元:就活するかで迷いましたよ。大学4年生のときに関東選抜っていうのがあって、そこに入ったら就活はやめてサッカー選手を目指そうと決めて、特に結果を残せてないんですけど一応関東選抜に入れたんで、とりあえず就活はせずにプロを目指そうっていう形でやってましたね。

ただ、そのときは皆(プロに)なれるかなれないかの瀬戸際でピリピリしてましたし、僕自身引っ掛からなかったら結局就活を遅くからしなきゃいけなかったのでドキドキでしたね。色々苦しかった時期でした。大学4年生はみんなそうだと思います。

辛かったことはありますか?

坂元:僕は結局プロとして(モンテディオ)山形に呼んでもらったのが7月くらいだったので、わりかし早かったんですよ。焦り始めた頃に取ってもらったんで、まだアレでしたけど。大学4年の時はプロを目指す選手は本当メンタル的になかなか経験しない重圧を受けながらプレーしたり、日々過ごすことになっていると思います。

僕自身、プロを目指している一番大事な時期にちょっと怪我をして試合に出られなくなってとかもあって、監督に相談しに行ったりもしてました。すごく苦しいというか、メンタル的に追い込まれていた印象が強いです。

それでは、プロチームからオファーがあればどこでも行くぞという気持ちで?

坂元:もうJ2でもJ3でも、とりあえずプロになれれば這い上がっていける自信はあったんですけど。そこに辿り着くまでが一番大変っていうのは自分でも分かっていたので、とにかく色んなところに練習参加させてもらって、どこでもいいからJ2に行けたら万々歳かな、という気持ちでした。


MF坂元達裕(モンテディオ山形所属時)写真:Getty Images

夢のプロ入りへ、山形から待望のオファー

2019年、東洋大学を卒業した坂元はJ2のモンテディオ山形に入団。デビュー年で42試合出場7得点とルーキーとして異例の好成績を残した。

モンテディオ山形に入団した経緯は?

坂元:当時の大学の監督の古川(毅)さんという方が、山形でプロとしてプレーしてた選手でした。左ウイングバックしか空いてなかったんで、そこでもいいなら練習参加に来ていいよっていう風に言ってもらって。結果、割と良くて取ってもらった感じです。

山形ではルーキーながら42試合出場7得点の活躍を見せました。

坂元:最初は左ウィングバックでの形で入ったんですが、練習していく中で前の方がやりやすいっていう風に監督にも感じてもらって、徐々にトップ下であったり[3-4-3]とかの3枚の右で使ってもらうようになって。キャンプが終わってから最初はベンチでしたが、2試合目からスタメンに使ってもらってまあまあ良くて、そこから続けて出させてもらうようになりました。

デビュー戦は覚えていますか?

坂元:もちろん覚えていますね、すごく緊張しましたけど。デビュー戦は全然良くなくて、途中出場だったんですけど負けちゃって。僕自身プレーも悪くて厳しいなって思ってたんですけど、2試合目からスタメンで使ってもらって良かったんで、その時の感情は忘れられないですね。手応えというか、雰囲気というか。やっぱり結果を出さないと終わっていく世界なんで、緊張してましたけど楽しめていた思い出はあります。

J2を実際に体験したときの感想は?

坂元:できるなっていう思いは強かったですね。もちろん大学とはプレースピードも強度も全然違いますし、ずば抜けた外国籍選手とかもたくさんいるので、難しい部分はたくさんありました。

山形での生活はどうでしたか?

坂元:とても良かったですね。ちょっと安く住める寮みたいなところに入らせてもらって、同期と隣同士で住んでいたんですけど、すごく楽しかったです。ご飯も山形はおいしいですし、サポーターの人たちも本当にとても温かいですし、大好きですね。

独占インタビュー前編では坂元のプロ入りまでを振り返った。後編では、セレッソ大阪への移籍から先輩MF清武弘嗣との出会い、海外移籍、27歳の現在から見据えるプロとしての夢について語っている。

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名前:Shun Ide
趣味:サッカーのプレイと観戦、サカナクション、料理研究、犬の芸仕込み
好きなチーム:川崎フロンターレ、コヴェントリー・シティFC

イギリス在住。イングランドのフットボール情報を現地からお届けします。

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