北海道コンサドーレ札幌が明治安田J1リーグで最下位に沈む中、ホームスタジアムの札幌ドームにおける“幻のバイエルン・ミュンヘン戦”が明るみに出た。プロ野球・北海道日本ハムファイターズのエスコンフィールド北海道(北広島市)移転に伴う巨額赤字、収支計画に関する見通しの甘さが以前から指摘される中、札幌市議会議員の成田祐樹氏がバイエルン戦立ち消えの理由を推察した。
札幌の姉妹都市であるミュンヘン市に本拠地を構えるブンデスリーガ(ドイツ1部)の強豪バイエルン。パリ五輪世代のU23日本代表MF福井太智(ポルティモネンセへ期限付き移籍中)を保有しているほか、昨年7月には日本ツアーを実施。国立競技場でマンチェスター・シティや川崎フロンターレと対戦するなど、日本との繋がりもある。
都内で開催されたバイエルンの日本ツアーだが、2022年の時点では札幌開催計画もあったとこと。成田議員は昨年3月23日、X(旧ツイッター)で「昨秋、FCバイエルン・ミュンヘンが札幌でのツアー開催も検討していると現地で情報を頂きました」と情報発信。「コロナ禍で感染状況を見極めて23年か24年に日本ツアーを検討と聞いていたので、実現の可能性大ですね。札幌開催に持って行きたい!姉妹都市マッチ」と期待を膨らませていた。
しかし同議員は今月24日、バイエルン戦開催計画に関する自身の投稿を引用した上で、「やんわりと立ち消えた」と実現に至らなかったことを報告。「昨年4月に市スポーツ局に打診があったのですが、バトンを渡して、そこで話が止まったようなので」と札幌市側の動きを明かした上で、立ち消えの理由について「チームの財政状況を考えてだと思っています。主催側として呼ぶお金と集客にリスクがあったかと」と綴っている。
また、欧州クラブによる日本ツアー開催に当たっての難しさにも言及。「呼ぶ側の日本のクラブにとってはあまりいい話しじゃないのかもしれない」という主旨の指摘に対して、「実際の日本ツアーのチケット代を見ると、採算ベースに乗せるにはチケット代と動員数のハードルがかなり高かったと推測してます。コロナ5類化の直後でしたが、再流行などでの中止になるリスクも恐れたかなと」と私見を述べている。
なお、成田議員は札幌ドームの現状について「現在の稼働状況だと予定のマイナス3億円より下方修正して4億円前後かなと。資金残があるので税投入はしばらく無いです」と説明。
赤字額が膨れ上がる中、札幌市と道内財界各社が第三セクター方式で出資する『株式会社札幌ドーム』は今年1月、年間2億5000万円以上で2~4年間という条件設定で命名権の公募を実施したが、公募期限の2月29日17時までに正式な申し込みはゼロ。今月はじめに公募期間を延長している。
減収対策として10億円を投入して2万人規模のコンサート開催が可能な「新モード」も不発に終わるなど、収支改善へ厳しい状況に置かれている札幌ドーム。バイエルンの日本ツアーが開催されなかったことを受けて、再び札幌市民やサッカーファンから注目を浴びている。
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