日本代表・海外組

日本代表タイ戦、森保監督が答えた課題は。前半は戦術的不備を突けず

奥抜侃志 写真:Getty Images

詰めが甘かった日本代表の守備

タイ代表のサイドバック方面へパスを誘導し、タッチライン際でボールを受けるサイドバックやその周辺の相手選手を捕捉すれば日本代表はより多くのチャンスを作れたはずだが、特に前半はこの守備の段取りが徹底されておらず。ゆえにタイ代表にプレッシングを掻い潜られる場面があった。

この最たる例が、前半10分のタイ代表の攻撃シーン。この場面ではタイ代表の右サイドバック、スパナン・ブリーラットが自陣後方のタッチライン際でボールを受け、ここに基本布陣[4-2-3-1]の日本代表MF奥抜侃志(左サイドハーフ)が寄せたが、スパナンの左隣に立っていたMFウィーラテップ・ポンパーン(ボランチ)を捕捉する日本代表の選手がおらず。このためスパナンとウィーラテップによるパス交換を許し、タイ代表にボールを運ばれてしまった。スパナンのラストパスが繋がらなかったため日本代表は事なきを得たものの、相手のパス回しを片方のサイドへ追い込んだ後のプレッシングは、今後も磨き上げる必要があるだろう。


森保一監督 写真:Getty Images

「もっと良いスイッチと良い追い込み方を」

日本代表の森保監督は「言わば急造のチームで、(チームが)スムーズに機能するのは難しいと思っていた」と、試合後会見の冒頭で率直な思いを明かしている。そのうえで、同代表の守備に関する記者の質問に答えた。

ー日本代表の前半の守備についてお伺いします。これは私(記者)の感想ですが、もう少し高い位置(敵陣の深いところ)、日本代表にとって理想的な場所でボールを奪えそうなシーンがあったように見えました。先ほど「言わば急造チームで、機能性を高めるのが難しかった」と仰っていましたが、それを踏まえて、森保監督は今日の前半の守備にある程度納得されているのか。それとも、もう少し出来た部分があったのか。この点について率直なご感想をお伺いしたいです。

「(納得できた部分とそうでない部分の)両方ありますね。より高い位置でボールを奪おうと、選手たちは何度かトライしながらも、(プレッシングを)外される部分がありました。机上で考えるのは簡単ですけれども、相手も巧いですし、そんな簡単にいくものではないと思って観ていました」

「もっと良いスイッチ(攻守の切り替え)と良い追い込み方をすれば、ボールを奪えた場面は何個かあったかなと。それは仰る通りだと思いますので、そこは更に(レベルを)上げていけるようにしたいです」

「(最前線、中盤、最終ラインの3列が)間延びして、スペースを与えて、これによって相手の攻撃回数が増えて我々のペースが乱れる。(高い位置で)ボールを奪えないまでもこうしたシーンが無かったのは、選手たちが我慢強さを持ち合わせて、修正に繋げてくれたからだと思います。そこは評価したいです」

「より高い位置でボールを奪うというのは、相手を見ながらトライしていきたいと思います。でも(今月開幕の)アジアカップで勝っていこうとしたとき、世界のトップ・オブ・トップの相手に勝とうとしたときは、より我慢強く守備をしながら、ボールを奪いに行くことを磨いていかなければならない。今日の試合を観ていて、そう思いました」


久保建英(左)伊東純也(右)写真:Getty Images

守備の練度向上は急務

「相手も巧いですし、そんな簡単にいくものではない」と森保監督は説明していたが、タイ代表が不合理な選手配置で自陣からパスを回していた事実を踏まえると、この試合に関しては相手チームの隙を確実に突きたかったところ。相手の戦術面の不備を短時間で見抜き、自軍の戦い方に活かせなければ、今月12日に開幕するAFCアジアカップで優勝を逃しかねない。2026FIFAワールドカップ(W杯)で、男子の日本代表としては初となるW杯ベスト8入りを果たすことも叶わないだろう。

久保建英や伊東純也など、守備戦術の理解力と攻撃スキルの両方が高い選手たちが揃っている日本代表だが、先述のアジアカップ制覇や2026W杯でのベスト8進出を成し遂げるためには、誰が出場しても守備のクオリティーが下がらないようにしなければならない。今回のタイ代表戦の前半ではこれを充分に実践できなかったが、まずはアジアカップでこの問題が改善されることを期待したい。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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