なでしこジャパン(日本女子代表)は、パリ五輪アジア2次予選を勝ち抜き、最終予選で北朝鮮代表と対戦する。その2次予選では、10月29日に行われたウズベキスタン戦での75分間にわたるボール回しが物議を醸しているが、男子の日本代表OBからも厳しい意見が上がっている。
パリ五輪アジア最終予選に進出するチームは、2次予選の12チーム3グループの各組1位にくわえて、2位となった3チームのうち成績最上位の計4チーム。ウズベキスタン戦前の時点でグループAではオーストラリア代表の首位通過が見込まれていたほか、グループCでは日本の首位通過が濃厚とみられていた。
グループAの2位が最終予選に進出した場合、グループAの首位とグループCの首位が最終予選で激突。日本はグループC首位通過という前提条件のもと、グループA首位通過が見込まれていたオーストラリア代表との対戦を避けたいという思惑があった。
それだけに日本はウズベキスタン戦で15分までの2点を奪うと、残り75分間は相手ゴールに攻め込むことなくパス回しに終始。ウズベキスタンの選手たちもほとんどボール奪取を試みなかったため、日本が91%というボール支配率を記録した上で勝利している。また日本の戦略もあり、ウズベキスタンはグループCを2位で終了。2位となった3チームのうち成績最上位となり、最終予選へ進出した。
この意図的なボール回しに対する賛否両論が噴出する中、日本代表OBの城彰二氏は今月2日の自身のYouTubeチャンネルを更新。「(トーナメントを勝ち進んだ時の対戦相手などについて)おそらく様々なマネジメントが行われている。スタッフやコーチ陣のことを考えると、確かにこの考え方もアリだと思う」と、池田太監督やコーチングスタッフの考えに理解を示す。
ただ一方で元代表選手という立場で「選手目線ではすごくつまらないと思う。75分間ボール回しは耐え難い」とコメント。なでしこジャパンの選手に対する批判も相次いでいるだけに、「選手たちにはもっと様々なものを作り出してファンに見せたという思いは絶対にあっただろうし、相当ストレスだと思う。だけど決めるのは監督だから、監督の指示に従うしかない。我慢した選手に拍手を送らなければならない」とかばっている。
その上で、城氏はひとりのサッカーファンとして「ボール回しでも良いと思う人もいると思うけど、ごくわずかだと思う。あんなサッカーしたら、ファンなくしちゃうよ」と警告。
「75分間ずっとボール回しをして何もしない。そんな試合ものすごくつまらないし、『サッカー見たくない』となる。初めてサッカー見た人なんかそうかもしれない。サッカーファンを取り逃すと思うし、戦いの中で同結果を残すのか、それでドラマが生まれていくのかがスポーツだと思う。本当に見ていられない」と胸中を明かした。
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