Jリーグ

川崎フロンターレ、7試合ぶりFC東京戦勝利の要因3選【J1リーグ2023】

川崎フロンターレ DF登里享平 写真:Getty Images

要因1:セカンドボールの回収と判断の正確性

象徴的なのは、得点に至った後半54分のシーンである。まず川崎はセカンドボールを回収して、自分たちのボールにした。進行方向に対して後ろ向きでボールを回収した瀬古は、自身で前に運ぼうとせずに、プレーの選択肢が進行方向に対し前と後ろの両方にある橘田にボールを預けている。この1メートル弱における2人のパス交換によって、選択肢が前と後ろの2つに増えたことが重要なポイントとなる。

そして橘田も自身より前にいるゴミスや脇坂にパスをすることができたが、より状態の良い登里へその役目を託した。橘田自身、登里の状態を確認するために、わずか数秒の間に登里を2回見ている。この瀬古と橘田と登里、3人の判断の正確性が得点につながったと言えよう。

結果、登里はダイレクトで脇坂にボールを送り、F東京の守備陣形が整いきる前にマルシーニョのシュートまで決めることができた。各選手が正しい状況判断をし、判断の速度を上げたことによって生まれたゴールであった。


川崎フロンターレ FWバフェティンビ・ゴミス 写真:Getty Images

要因2:ターゲットの存在

川崎の前第26節終了時点におけるセットプレーからの得点数は4だ。これはリーグワースト2位タイの数字である。これを打開するために、同試合ではゴミスが力を発揮したことは間違いない。

オフサイドで得点には至らなかったが前半39分のシーン。ゴミスというターゲットが印象付けられたことによって、F東京の守備の意識がゴミスに集中した。結果、後ろからきた家長がフリーになることができて、ゴールネットを揺らした。

またゴミスの存在は、セットプレーだけでなく他のシーンでも効果を発揮した。61分にゴミスがファールを受ける。ターゲットに対し当然相手のファール回数は増える。これに対し、ピッチ上で唯一動いていたのが瀬古であった。得点には至らなかったがクイックリスタートからゴールを狙った。ゴミスというターゲットの存在により生まれるプレーは、川崎の攻撃の幅を広げるだろう。


川崎フロンターレ FWマルシーニョ 写真:Getty Images

要因3:得点パターンの拡大

さらに、ゴミスの加入は川崎の攻撃パターンの拡大にもつながった。同試合で今シーズン初得点を記録したマルシーニョは元からドリブルを得意とする選手であったが、ゴミスが中央でターゲットとなることで相手ディフェンスを引き付ける効果を発揮する。その効果によって、サイドでマルシーニョがよりフリーな状況を作ることが可能となる。マルシーニョに限らず、サイドでの攻撃の選択肢が増えることによって、得点の増加を見込むことができる。

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名前:KIRA

趣味:サッカー、筋トレ、ワイン
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