ベトナム代表のフィリップ・トルシエ監督は、9月11日のパレスチナ代表との国際親善試合に臨む代表メンバーを選出した。この中には、数少ない海外組である横浜FCのFWグエン・コン・フオンも含まれている。
かつて「ベトナムのメッシ」と称された期待の若手コン・フオンも、すでに28歳。これまで4度の海外移籍(水戸、仁川、シント=トロイデン、横浜FC)を経験しているが、いずれも定位置をつかみ取ることはできず、ファンがコン・フオンのプレーを目にする機会は激減した。U-19代表での活躍でスターに祭り上げられ、その後もアイドル視されて人気ばかりが先行してきたこともあり、今ではその実力に懐疑的な声も聞かれる。
メディアからのコン・フオンに対する風当たりは日増しに強くなっている。以前トルシエ監督が「現在のパフォーマンスでは代表に値しない」と発言したのを機に、代表不要論も囁かれるようになった。2023シーズンに加入した横浜FCでは、ここまでリーグ戦出場はなく、YBCルヴァンカップのグループステージ第3節、名古屋グランパス戦の後半アディショナルタイムに出場したのみ。出場時間はわずか2分だった。
トルシエ監督は、出場機会に恵まれないコン・フオンら海外組を招集したことについて、「ベトナムには優秀なストライカーが不足している。Vリーグでプレーするストライカーたちも調子を落としているため、今は彼ら(海外組)を優先したい」と説明。さらに「彼らを代表から外すのは時期尚早。彼らのレベルはVリーグのスタメン級よりも上だ」と述べて海外組を擁護した。
一方で、コン・フオンは今回の代表招集で慣れ親しんだ背番号10を、ベテランのFWグエン・バン・クエット(32歳)に奪われた。バン・クエットは強豪ハノイFCのエースであり、2023シーズンはベトナム人選手として3人目のリーグ通算100ゴールを達成。前任者のパク・ハンソ監督政権の5年間はなぜか冷遇されていたが、コン・フオン以前のベトナム代表の10番といえばバン・クエットだった。
代表の10番が入れ替わったことは、現時点での序列で、コン・フオンがかつての立場にいないことを意味する。ワールドカップ・アジア予選やアジアカップといった重要な国際大会を控える中、代表生き残りをかけた9月と10月の国際親善試合は、コン・フオンにとって正念場といえるだろう。
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