要因1:川崎の3バックへの対応力
川崎は、8月30日に行われた天皇杯準々決勝から先発メンバーを8人入れ替え、通常[4‐3‐3]のフォーメーションから、今節は[3‐5‐2]でスタート。C大阪はこれへの対応に時間がかかり、前半は川崎ペースで進んだ。選手間の距離が遠く、C大阪はうまくボールを前線に運ぶことができていなかった。
ハーフタイムでC大阪は、川崎の[3‐5‐2]への対応方法を変えることを選択。これがうまくいった。小菊昭雄監督も試合後「サイドバックのポジショニング、ボランチの関わり方を全員で共有したことで、立ち位置での位置的優位を取って、有効に前進できたシーンが多くなった」とコメントしている。
51分のパス交換のシーンは象徴的だ。右サイドでボールを受けたDF毎熊晟矢は、サイド側ではなく真ん中方向にポジショニングをとる。そこに近い距離で香川と喜田が絡んでセンターでボールを動かす。こうすることでセンターに川崎ディフェンスが寄っていき、サイドのスペースが空く。すると個人技に優れているC大阪のサイドアタックが活きるようになる。
要因2:GKヤン・ハンビンの守備力
この試合、前半45分のうちに川崎が得点を挙げていたら、結果は分からなくなっていただろう。それを防いだのがGKヤン・ハンビンである。試合を通してもMVPにあたる活躍をしたのは間違いない。
特に19分のシーンでは、MF橘田健人のシュートを防いだ後、ボールをこぼす場所とこぼした後のセカンド処理の速さが際立っていた。こぼれ球にはFW山田新がC大阪のディフェンス陣より早く反応するも、ヤン・ハンビンの速さが上回った。上位進出へ向け、守護神の存在は不可欠である。
要因3:交代カードの有効性
また、87分に投入され、アディショナルタイムのPKによりC大阪の3点目を演出した2名、MF新井晴樹とFW渡邊りょうは、共にこの7月に加入した選手でありチームへのフィットを示した。
新井は、C大阪は2度目の加入となる。クロアチアリーグ(HNKシベニク2022-2023)でのプレー経験もあり、C大阪にとってサイド攻撃の選択肢が増えたことは間違いない。渡邊は、J3アスルクラロ沼津(2019-2022)藤枝MYFCでJ2昇格(2022-2023)と、下部リーグからステップアップを図り、今2023シーズンJ1まで上り詰めた。この2人が優勝戦線に残るラストピースとなるか。今後、注目である。
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