MF:山本理仁(シント=トロイデン/ベルギー)
2019年、当時高校2年生ながら東京ヴェルディのトップチーム昇格を果たしたMF山本理仁。世代別代表にも名を連ね続ける、まぎれもなくパリ世代を代表する選手の1人だ。
しかし、2022年夏にガンバ大阪への移籍直後は怪我の影響などもあり、シーズン後半の10月にJ1デビュー。加えて今2023シーズンは、中盤にイスラエル代表MFネタ・ラヴィが加わったこともあってか、先発での出場機会は少なかった。
質の高い左足のキックとゲームメイク力には定評があり、中盤の底から一気に相手の急所を突く鋭いパスなど、明確な武器を持った選手であることは間違いない。このタイミングでシント=トロイデンへの海外挑戦を果たしたことにも納得がいく。
シント=トロイデンには今夏Jリーグから複数の選手が加入。一部チームを離れた選手がいるものの、変わらず日本人選手が数多く所属する。よって海外へ渡ったとはいえ、意思疎通面の課題は他クラブよりもあらかじめ緩和されていると言えるだろう。
新天地では開幕以降出場機会は確保できているが、スタメン出場はなく定位置を掴めているとは言えない山本。同世代で比較対象ともいえるMF藤田譲瑠チマと同チームになったことをきっかけに、競争の中で飛躍のきっかけを作ってほしい。
MF:鈴木唯人(ブレンビー/デンマーク)
今夏、期限付き移籍先であるフランスのストラスブールから、清水エスパルスへの復帰が発表されたMF鈴木唯人。圧倒的な縦への推進力を誇る若きドリブラーの帰還に、J1復帰に向けて大きな期待を寄せたファン、サポーターは数多くいたことだろう。ところが復帰後間もない8月12日、デンマークのブレンビーへの移籍が発表された。急転直下の移籍劇であった。
フランスへ渡ってからの鈴木は、デビュー戦でいきなりゴールを挙げ鮮烈なデビューを果たすも出場機会は3試合のみ。消化不良のまま帰還を余儀なくされたとの見方もできる。しかし、わずか3試合の清水復帰期間では、1ゴール1アシストと試合に絡めていなかった鬱憤を晴らすような活躍を披露。チームをJ1昇格に向けて上昇気流に乗せる働きをしたと言えるだろう。
フランスでのゴールシーンでも見せた通り、持ち味は細かなボールタッチとスピード感あふれるドリブル。タレント豊富なパリ世代の攻撃的な選手たちと比較しても、強烈な個人技を持つ選手の1人であることは間違いない。Jリーグで見られなくなることは残念だが、完全移籍を勝ち取った今回こそ欧州での活躍が期待される。
MF:佐野航大(NECナイメヘン/オランダ)
近年はJ2クラブからJ1を飛び越えて海外挑戦を果たす選手もいる。MF本間至恩(クリュプNXT)は2022年にアルビレックス新潟から、DF冨安健洋(アーセナル)は2018年にアビスパ福岡から、それれベルギーへ渡った。
そして今夏はファジアーノ岡山からMF佐野航大が、オランダのNECナイメヘンへの移籍を決めている。これまではU-20日本代表での活動が主だったが、MF松木玖生(FC東京)らと同様パリ五輪行きも十分に期待できる選手の1人だ。
岡山では、2023シーズン左サイドを主戦場に様々なポジションで出場機会を得て20試合に出場。2ゴール4アシストと数字も残している。エリア内でも積極的に仕掛けるその姿勢と技術は、U-23日本代表が誇る強烈な個性を持つ2列目の選手たちと比較しても見劣りしない。
新天地NECナイメヘンには、今夏横浜FCよりFW小川航基も加入。佐野はまずポジションを取ることが最初のミッションにはなるが、小川とは活かし合える関係構築も可能なはず。飛び級での海外挑戦を決めたからには、成長を加速させてパリ五輪の代表選手として名を連ねてほしいものだ。
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