今夏も多くの選手が動いた移籍市場。Jリーグも例外ではなく、国内はもちろん新たに海外挑戦を決めた選手も多数出ている。
特に話題となったのは、昨2022年カタールワールドカップ(W杯)の日本代表メンバーにも選出されたFW町野修斗(ホルシュタイン・キール)や、2022年J2得点王のFW小川航基(NECナイメヘン)、アルビレックス新潟で今季J1を湧かせたMF伊藤涼太郎(シント=トロイデン)といった、今後代表での活躍も期待される選手たちの海外行きだ。
また、2024年7月開幕予定のパリ五輪に向かうU-23日本代表、いわゆるパリ世代の選手たちも今夏欧州行きを決めている。ここでは、新天地での活躍と五輪での躍動が期待されるパリ世代の注目選手たちを5名紹介していく。
GK:鈴木彩艶(シント=トロイデン/ベルギー)
京都サンガやマンチェスター・ユナイテッドなど、移籍先を巡って今夏複数の噂が飛び交ったGK鈴木彩艶。最終的には、ベルギーのシント=トロイデンへの期限付き移籍で落ち着いた。
所属元である浦和レッズでは、ACL優勝にも大きく貢献したGK西川周作の高い壁を前に、出場機会はなかなか増えずにいた鈴木。シント=トロイデンでは、移籍の噂もあるが現役日本代表GKシュミット・ダニエルとポジション争いをすることとなる。日本人選手との激しいポジション争いの中で、いかに成長できるかに注目だ。
パリ世代のGKで言えば、GK小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)がすでに海外でプレーを続けており、今でこそ五輪の正GK候補である鈴木も油断できない。とはいえ、3月のU-23海外遠征時にも見せたセービング力は大きな強み。移籍期限満了後、鈴木がどのような選択をするのか現時点では不明だが、浦和とすれば西川の年齢も考え、これほど頼れる後継者もいないだろう。
また、鈴木の成長がA代表に与える影響も小さいものではない。海外挑戦を機にどれほどのレベルアップを果たすのか。次世代の代表守護神としての期待も一層高まっていくのではないだろうか。
MF:藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン/ベルギー)
パリ世代の中でも、中盤の底を支える存在として期待されるMF藤田譲瑠チマ。昨2022シーズンのJリーグ王者、横浜F・マリノスからベルギーのシント=トロイデンへ移籍し、今夏新たなスタートを切った。
第4節のヘンク戦、スタメン出場でデビューを果たした藤田は、ワンタッチでのパス回しで攻撃にリズムを生み、自身も積極的にシュートを打つなど早くも活躍の兆しを随所に見せている。近年多くの日本人選手が所属するクラブであることも、チームへの順応を早める要因となっていることだろう。
横浜FMでは、同ポジションにキャプテンを務めるMF喜田拓也と、小柄ながら豊富な運動量を武器に高い守備力を誇るMF渡辺皓太がおり、必ずしも定位置を確保できているわけではなかった。しかし、出場した試合あるいはU-23代表試合における、藤田のゲームメイクや守備能力の高さは証明済みだ。
まだ21歳という成長過程にあり、このタイミングでの海外挑戦が大きく成長につながる可能性は高い。かつてのDF冨安健洋(2018-2019)やMF遠藤航(2018-2020)のように、シント=トロイデンを皮切りに欧州で名を轟かせるまで突き進んでほしいものだ。
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