
日本時間8月5日に2023/24シーズンが開幕したイングランド2部リーグ、チャンピオンシップ。MF坂元達裕が所属するコベントリー・シティは6日の第1節、2013/14シーズン以来10年振りに2部へと降格した元プレミア王者のレスター・シティと対戦した。
コベントリーは前半アディショナルタイムに先制するも、後半はレスターに2点を返され逆転負け(1-2)。坂元は92分に投入されイングランドデビューを果たしたが、同点弾は演出できなかった。同試合におけるコベントリーの課題について見ていこう。

コベントリーVSレスター:試合展開
プレミアリーグの優勝メンバーであるFWジェイミー・バーディを擁するレスターは[4-3-3]の布陣でスピーディーなサッカーを狙う。一方、アウェイのコベントリーは[3-4-1-2]を敷くが、両サイドハーフはディフェンスラインに吸収され、5バック気味の[5-2-1-2]が実際のフォーメーションだった。
コベントリーのマーク・ロビンズ監督は、昨2022/23シーズンから一貫して堅守速攻の戦術を取っており、しっかり守って後方からロングボールを前線に供給するカウンターサッカーが持ち味だ。このゲームでもアグレッシブに攻めてくるレスターに対し、前半は守備が機能しており、ボールを奪取したらすぐにカウンターに転じるなど早い攻守の切り替えでレスターを苦しめた。
前半のアディショナルタイムには、コーナーからのボールにDFカイル・マクファジーンが合わせコベントリーが先制する。

後半もコベントリーがカウンターから決定機を迎えるが得点には至らず。レスターは62分にセンターハーフのMFウィルフレッド・ディディを下げてFWデニス・プラートを投入。前線に枚数を増やして攻勢に出る。
5バックのコベントリーはミッドフィールダーが実質2枚しかいないため、広大な中盤のスペースをレスターに使われ始めると徐々にオープンな展開に。71分にはボランチのMFグスタボ・ヘイメルを下げてキャプテンのMFリアム・ケリーに。右サイドハーフのMFジョシュ・エクルズを下げ新加入のDFミラン・ファン・エヴァイクに。そしてセンターフォワードのFWエリス・シムズに代えて、8月4日に契約したばかりのアメリカ代表FWハジ・ライトを投入した。
しかし77分にレスターのMFキアナン・デューズバリー=ホールが同点弾。87分にも同選手が見事なミドルシュートを決め、コベントリーは逆転を許す。
コベントリーはアディショナルタイムの92分、トップ下のMFケイシー・パルマーに代えて坂元を投入するもチャンスを作ることができず1-2で終了。開幕戦での勝ち点を落としてしまった。

コベントリーの課題:5バックの限界
堅守速攻はロビンズ監督の得意とする戦術でもある。昨シーズンは機能していたものの、攻撃はカウンターに頼ることになり守備の負担も大きい。事実、昨シーズンのプレミア昇格をかけたプレーオフでカウンターの決定機をものにできず徐々に劣勢に立たされ、あと一歩のところで昇格を逃してしまったのは、現地のサポーターにとって苦い記憶となっている。
レスターとの試合ではバーディをはじめとする相手のスピードある攻撃を防いだが、後半に入ると中盤の疲労は色濃くなり、ディフェンスラインはずるずると下がりスペースを支配された。しかしロビンズ監督はフォーメーションを変えることなく選手の交代にとどめる。新加入のエヴァイクは右サイドに入るが、周囲との連携が合わずボールを奪われるとピンチを招く場面も見られた。
一方、コベントリーのクラブ史上最高額となる900万ユーロの移籍金で加入したライトは、開幕前日の合流にもかかわらず個の力で状況を打開。ポストプレーや、ハーフウェーラインからドリブルで駆け上がりシュートまで持って行く姿などは圧巻だった。
しかし、これらの選手が代わったところでシステムは変わっていない。中盤のスペースをMFベン・シーフとケリーの2枚でケアしなければならない状況が続くと、レスターの攻撃への対応に後手を取るようになり、その結果逆転を許してしまった。
5バックは昨年カタールW杯で日本代表も採用したが、カウンターがはまれば効果的な戦術となる反面、守備に追われる時間が増えるため選手の負担は大きい。今回のコベントリーも先制後、ディフェンスラインを高く保てず中盤をコンパクトにできなかったことが敗因のひとつだろう。
コメントランキング