ワールドカップ 女子サッカー

目指せ「優勝後遺症」脱出!なでしこジャパンの挑戦【女子W杯】

コスタリカ戦に勝ち決勝トーナメント進出を決めたなでしこジャパン 写真:Getty Images

世間は常に未踏へ期待

男子のサッカー日本代表が初めてW杯に出場したのは1998年のフランス大会。その出場をかけてイラン代表と戦ったアジア最終予選(1997年11月16日)は、日本では深夜帯の放送だったにもかかわらず、47.9%もの平均視聴率を記録した。

「ジョホールバルの歓喜」と呼ばれるこの勝利でW杯初出場を決めて以降、男子は7大会連続でW杯に出場しているが、予選の視聴率は下がり続けている。無論、日本におけるサッカー人気が下がったのではない。むしろレベルの向上とともに定着しつつある。それでも視聴率が下がるのは、W杯に出場するのが「当たり前」になりつつあるためだ。

W杯の本大会に入り決勝トーナメントまで進むと、視聴率と注目度は急激に増す。男子未踏の優勝に向け、期待が高まるからではないだろうか。


なでしこジャパン 2011女子W杯優勝時 写真:Getty Images

なでしこジャパンは「当たり前」を超えるか

なでしこジャパンの場合、それがより顕著だ。2011年の女子W杯では初優勝を飾り、翌2012年のロンドン五輪でも銀メダルを手にしたことでその名は一気に浸透し、女子サッカーブームにまで繋がった。女子サッカーの地位向上に多大な役割を果たしたことは間違いない。

ただし、当然その副作用もある。強いというイメージが付いたチームにかかるプレッシャーは大きく、欧州を中心とする女子サッカーの強化も相まって、その後は一時期ほどの成績は残せていない。

世間が思う「当たり前」を超えないと、徐々に関心は薄れてしまう。上位進出が「当たり前」と認識されているなでしこジャパンには、この「優勝後遺症」ともいうべき病がつきまとっているのだ。完治は困難であろう。緩和することさえ難しい。男子サッカーのように文化として定着し、多くのメディアに積極的に取り上げられ、「当たり前」を超える成績を残すしか方法はないだろう。

第2節で決勝トーナメント進出を決め、第3節のスペイン戦は選手の疲労を考えながらスタメン起用が可能であるため、今W杯のなでしこジャパンにかかる期待は大きい。2011年、団体として初めて国民栄誉賞を受賞し、同年の新語・流行語大賞を受賞した「なでしこジャパン」。ブームを再び起こし、今度こそ文化として根付くことを願ってやまない。

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名前椎葉 洋平
趣味:サッカー観戦、読書、音楽鑑賞
好きなチーム:アビスパ福岡、Jリーグ全般、日本のサッカークラブ全般

福岡の地から日本サッカー界を少しでも盛り上げられるよう、真摯に精一杯頑張ります。

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