2023明治安田生命J1リーグ第12節(延期分)の1試合が6月28日に行われ、湘南ベルマーレは敵地の埼玉スタジアム2002で浦和レッズと対戦。最終スコア1-4で敗れた。
直近のリーグ戦12試合勝ちなし、加えて6月24日の第18節サガン鳥栖戦(0-6)と合わせて計10失点と、泥沼にはまった湘南。ちぐはぐな攻守で今節も試合の主導権を握れず、リーグ戦最下位からの脱出を逃した。
ここでは浦和戦を振り返るとともに、湘南の問題点を列挙していく。
浦和vs湘南:試合展開
基本布陣[4-2-3-1]の浦和と[3-1-4-2]の湘南が、キックオフ直後からロングパスを蹴り合う。試合の主導権を握ったのは、最終ラインの隊形変化を駆使し、湘南のハイプレスを空転させた浦和だった。
前半20分、2センターバック間に降りた浦和MF岩尾憲がロングパスを繰り出すと、これが湘南の最終ラインの背後へ走ったDF大畑歩夢(左サイドバック)のもとへ。ペナルティエリアに侵入した大畑のクロスにFW興梠慎三が合わせ、浦和に先制点をもたらした。
湘南は先制された後も浦和に攻め込まれたが、GKソン・ボムグンが好セーブを連発。前半34分に浦和MF大久保智明と大畑による連続シュートを防いだほか、同39分には興梠との1対1を制する。この韓国代表GKが気を吐いたことで、湘南は後半に望みを繋いだ。
迎えた後半8分、DF杉岡大暉の左サイドからのクロスにFW大橋祐紀がヘディングで合わせ、アウェイチームが同点に追いつく。久々の勝利に向けて湘南が意地を見せたが、反撃もここまでだった。
後半16分に浦和MF関根貴大にペナルティアーク付近から右足を振り抜かれて勝ち越しゴールを許すと、同20分にも浦和のロングカウンターから関根にゴールを奪われてしまう。アディショナルタイムには、DF馬渡和彰のクロスのこぼれ球を途中出場のFWホセ・カンテに押し込まれ、湘南は力尽きた。
湘南の守備はなぜ崩壊したのか
湘南の敗因のひとつは、浦和の最終ラインの隊形変化に対応しきれなかったことだろう。
先述の通り、浦和は自陣後方からのパス回しの際、マリウス・ホイブラーテンとアレクサンダー・ショルツの2センターバック間にボランチの岩尾が降りる形を適宜採用。浦和の先制ゴールは、岩尾の正確なロングパスによってもたらされた。
この場面における湘南の守備隊形は[5-2-3]で、FW町野修斗、大橋、MF小野瀬康介の3人が浦和の最終ライン3名(ホイブラーテン、岩尾、ショルツ)の前に立っていたが、3対3の同数であったにも関わらずハイプレスがかからず。撤退守備を選んだわりには最終ラインの背後のケアが疎かで、5バックであれば本来埋めやすいはずの、ウイングバックとセンターバックの間を浦和陣営に簡単に突かれてしまった。ここでは右ウイングバックの石原広教と、センターバックの髙橋直也(両DF)の間を浦和DF大畑に突かれている。
また、浦和のDF酒井宏樹(右サイドバック)と、右サイドハーフの大久保による巧みなポジショニングにも手を焼くことに。
浦和が自陣後方からパスを回す際、酒井がタッチライン際から内側にポジションを移すことで、同選手が大外のレーンに立つ大久保とショルツ(センターバック)の中継地点として機能。酒井が大久保のサイドでの孤立を防ぎ、自身も中央とサイドどちらにもパスを出せる状況を作ったことで、湘南に守備の的を絞らせなかった。
酒井が大外のレーンを走った際には、大久保が自陣へ降りたうえで内側に絞るなど、浦和は多彩な隊形変化で湘南を翻弄。これらの浦和の隊形変化に対し、湘南が[5-2-3]や[5-1-4]の守備陣形でハイプレスをかけるのか。それとも[5-3-2]や[5-4-1]で撤退するのか。この点をチーム内で意思統一できなかったことが、今回の敗戦に繋がったと言えるだろう。
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