Jリーグ 湘南ベルマーレ

湘南、前半の拙攻で自滅。6失点大敗の鳥栖戦を検証【J1リーグ2023】

湘南ベルマーレ 山口智監督 写真:Getty Images

「トライと無謀の整理をしないと」

湘南の山口智監督は鳥栖戦後の会見で、率直な思いを吐露。プレー原則を整理したうえで、改めてチーム内で共有する意向を質疑応答のなかで明かしている。

ー前半の2失点はミスから墓穴を掘ったような形だったがどう感じているか?

「起きたことに対しての課題はもちろんありますし、どうすればよかった、こうしてほしかったという思いはあります。やはり選手は焦っているのかなというのは正直立ち上がりありました。いいことをしようとして、それがミスになってそれが失点に直結しているのが2失点ともそうだと思います。そういうことは求めていない中で起こるというのは全て僕の責任ですし、もう一度そこを整理しながら、トライの部分と無謀になってしまっている部分の整理をしないといけないと思います。きれいごとではないところをどう伝えるかというのは間違ってはいけないところですし、状況に応じたプレー、状況に応じた考え方は、僕が監督である以上、責任だと思っています。そこは逃げずに伝えながら、共有しながらやらせる、やってもらう、それに尽きると思います」

ーいま結果が出ていない中で、今日の2失点などは監督が常々言っている予測や準備の部分に課題があったと思うが、そこがなかなか結果として出ないことについては?

「それは本当に難しいところではありますが、現状が形として出ていると思います。僕が言っているところを意識しすぎてしまっているのかなという反省は常々あります。選択肢を増やす中で判断しプレーするというのは僕のやり方になっていて、それが失点に繋がっているということは原因があると思います。答えを伝えていないと言えば伝えていないので表現が難しいですが、そこがもしかしたらよくないのかなというのが自分の中にあります。失点が起こる原因だったりミスがピンチになる原因というのは常々選手とは共有している中で、そこがまだまだ結果、プレーに繋がっていないというのが現状です。それは本当に僕のアプローチの仕方を変えないといけないところがありますし、選手にもっとやってもらわなければいけないところもあります。選手はそのミスが起こった原因というのは絶対に分かっているので、そこは否定するところと継続させながら修正するところと、その修正のさせ方がもう少し必要なのかなと思っています」(湘南ベルマーレの公式ホームページより引用。一部補正)

自陣から敵陣までボールを運ぶための方策と、そのためのプレーの優先順位や原則を策定する。先述の通り、山口監督が最も注力すべきはこの点だろう。基本布陣[3-1-4-2]のウイングバックが自陣後方の大外のレーン(タッチライン際)やセンターバックとほぼ同列の位置でパスを受けることで、相手のハイプレスの標的となってしまう悪癖も、第11節の柏レイソル戦以降改善されていない。指揮官によるプレー原則の落とし込み不足は明白だ。湘南で監督キャリアをスタートさせた45歳の指揮官が、今回の困難を乗り越えられるか。この点に注目していきたい。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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