Jリーグ 湘南ベルマーレ

湘南の攻撃配置は未だ手付かず。鹿島に突かれた隙とは【J1リーグ2023】

舘幸希(左)石原広教(右)写真:Getty Images

2023明治安田生命J1リーグ第17節の計9試合が6月10日と11日に行われ、湘南ベルマーレは11日、敵地の茨城県立カシマサッカースタジアムで鹿島アントラーズと対戦。最終スコア0-1で敗れた。

前半43分に鹿島MF樋口雄太にフリーキックのチャンスを物にされ、黒星を喫した湘南。鹿島FW鈴木優磨のPKをGKソン・ボムグンが止めたことで1失点に留まったものの、大きな課題が残る試合だった。

ここでは鹿島戦を振り返るとともに、未だに改善されていない湘南の問題点について言及する。


鹿島アントラーズvs湘南ベルマーレ、先発メンバー

鹿島が見せつけた対応力の高さ

この日も[3-1-4-2]の基本布陣で臨んだ湘南は、ハイプレスでのボール奪取を試みる。町野修斗と大橋祐紀の両FW(2トップ)、加えてMF小野瀬康介とFWタリクの2インサイドハーフが最前線に並ぶ[5-2-3]や[5-1-4]の守備隊形を敷いたが、鹿島に対処された。

鹿島はGK早川友基を自陣後方からのパスワークに組み入れ、湘南のハイプレスを回避。仮にフィールドプレイヤーをマンツーマン守備でおさえられてもGKはフリーになるため、鹿島の選手たちは早川をボールの逃がしどころにしていた。

湘南の[5-2-3]の守備隊形(小野瀬が最前線に加わるパターン)

象徴的だったのが、鹿島が自陣でパスを回した前半12分の場面。ここではタリク、町野、大橋の3人を起点に湘南がハイプレスを試みたが、GK早川がペナルティエリア外で味方のパスを受けたため、鹿島は自陣で数的優位を確保。この状況を活かしたホームチームが、湘南の守備隊形のファーストラインを掻い潜ってみせた。

鹿島DF関川郁万の縦パスを受けた樋口のトラップが乱れたため事なきを得たものの、湘南がピンチに陥ってもおかしくない場面であったことは確か。最前線へシンプルにロングボールを蹴るシーンもあったが、鹿島は隊形変化のパターンを複数用意し、湘南をかく乱。MFディエゴ・ピトゥカが2センターバック間やセンターバックとサイドバックの間へ適宜降りたほか、DF安西幸輝(左サイドバック)が高い位置をとり、センターバックの関川と安西の間に樋口が降りる場面もしばしば。前半は樋口のフリーキック以外に鹿島にビッグチャンスは訪れなかったが、湘南にボールの奪いどころを定めさせないパスワークを繰り出せている時間帯でもあった。鹿島を率いる岩政大樹監督の準備力と、相手の出方に対する鹿島の選手たちの対応力の高さが窺えた一戦と言えるだろう。

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名前:今﨑新也
趣味:ピッツェリア巡り(ピッツァ・ナポレターナ大好き)
好きなチーム:イタリア代表
2015年に『サッカーキング』主催のフリーペーパー制作企画(短期講座)を受講。2016年10月以降はニュースサイト『theWORLD』での記事執筆、Jリーグの現地取材など、サッカーライターや編集者として実績を積む。少年時代に憧れた選手は、ドラガン・ストイコビッチと中田英寿。

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