2023明治安田生命J1リーグ第16節の計8試合が6月3日と4日に行われ、湘南ベルマーレは3日、本拠地レモンガススタジアム平塚でアルビレックス新潟と対戦。最終スコア2-2で引き分けた。
リーグ戦での連敗を5で止めたものの、第16節終了時点で最下位と同じ勝ち点12の16位と、不振に喘いでいる湘南。今季の同リーグ全試合で失点を喫しており、守備の改善は急務だ。ここでは新潟戦を振り返るとともに、湘南の守備の問題点についても言及する。
湘南vs新潟:試合展開
山下良美主審によるキックオフの笛からわずか51秒後、湘南のDF杉岡大暉のクロスが新潟のDF千葉和彦の腕に当たる。これが自陣ペナルティエリア内にいた千葉のハンドの反則と判定され、湘南にPKが与えられると、このチャンスをFW町野修斗が物にした。
湘南は先制したものの、時間の経過とともに最前線、中盤、最終ラインの3列が間延び。基本布陣[4-2-3-1]の新潟の2ボランチ(高宇洋と秋山裕紀の両MF)と、トップ下のMF伊藤涼太郎を起点とするパスワークに手を焼いた。
前半30分には、伊藤のスルーパスに反応したFW谷口海斗に不揃いな最終ラインの背後を突かれ、湘南は失点。後半17分にも伊藤のコーナーキックから谷口にゴールを決められ、ホームチームが劣勢に陥った。
連敗阻止に向け怒涛の攻撃を見せた湘南は、後半38分にチャンスを迎える。途中出場のMF阿部浩之が敵陣ペナルティエリア内の密集からスルーパスを放つと、これにMF小野瀬康介が反応。小野瀬が新潟の最終ラインの背後を突き、同点ゴールを挙げた。
湘南は6連敗こそ免れたものの、直近のリーグ戦9試合勝ちなし。厳しい状況が続いている。
曖昧だった湘南の守備のコンセプト
この日も[3-1-4-2]の基本布陣で臨んだ湘南は、新潟がGK小島亨介や最終ラインからパスを繋ごうとするやいなや、[5-2-3]に隊形変化。町野、FW若月大和、小野瀬の3人で中央のレーンを埋め続け、ハイプレスからの速攻でゴールを狙う意図こそ窺えたが、ボールの奪いどころやプレッシングを強めるタイミングがはっきりせず。ゆえにショートカウンターの場面をそれほど多く作れなかった。
湘南がこの試合で徹底すべきだったのは、新潟の両サイドバック(新井直人と田上大地の両DF)にプレスをかけること。特に新井に関しては前半、自陣後方のタッチライン際や味方のセンターバックとほぼ同列の位置でパスを受ける場面が散見されたため、湘南はここにプレスをかけ続けるべきだった。
PK獲得に繋がった湘南のキックオフ直後の攻撃は、自陣後方のタッチライン際でパスを受けた新井に、湘南のFWタリクがプレスをかけたことで生まれたもの。タリクのプレスにセンターバックの杉岡とDF畑大雅(左ウイングバック)も連動し、湘南はボール奪取に成功。ここからの速攻で新潟DF千葉のハンドの反則を誘発している。成功事例はあっただけに、湘南が新潟のパスワークを新井と田上の方へ追いやり、ここへのプレスを強めることを徹底していれば、試合の趨勢は序盤で決していたかもしれない。
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