2023シーズン攻撃の舞台は空中から地上へ?
一方、強みを維持した守備陣と対照的に、攻撃陣には不安が残る。昨シーズンまではサイドからのクロスに高さのあるFWが合わせる形が主だったが、結果に結びついていない。クルークスのポジションにはFC東京から紺野を、フアンマのポジションには東京ヴェルディから佐藤を獲得したが、そもそもリーグ最少得点の陣容だ。単純な足し算では強力といえず、高ささえ失ったように映る。
この点が前評判に影響しそうだが、長谷部監督はおそらく、攻撃の場を空中から地上へと移そうとしているのではないか。
FW陣の顔触れは昨シーズン10得点を挙げ出し手にも受け手にもなれる山岸祐也を軸に、広いスペースでのスピードと献身性を持つルキアン、動き出しとシュートセンスで勝負する佐藤、コンタクトの強さと豪快なシュートを備えるジョン・マリなど。圧倒的な高さで勝負するタイプはおらず、SHもカットインを得意とする紺野や金森健志、突破力が持ち味の田中達也らが主戦。グラウンダーのパスにドリブルを組み合わせた、新たな形を模索するのだろう。それは、2022シーズンに目指しながらも陣容と噛み合わず、志半ばで諦めたものでもある。
2023シーズン3バックと4バックを併用か
2023シーズンは、フォーメーションにも多少の変化がありそうだ。長谷部監督体制の福岡ではこれまで、4バックをメインに3バックも時折使用されてきたが、これまでより3バック率が高まると予想する。
昨2022シーズンのラスト3試合を2勝1分で乗り切った福岡だが、この3試合はいずれも3バック。また、2023シーズンはSBを主戦場とする選手が湯澤聖人、前嶋洋太、新加入の亀川の3人しかおらず、シーズンを通して4バックで戦い抜くには不安がある。CBは奈良、宮、グローリの3選手に加え、昨シーズン終盤に成長を示した三國ケネディエブス、安定感が増した井上聖也など比較的選手層が厚く、3バック向きのスカッドとなっている。
2023目標達成のカギはラストピースの存在?
長谷部監督は2023シーズンも引き続き、リーグ戦では8位以上、カップ戦ベスト4以上という目標を掲げている。ただし現時点で選手は26人しかおらず、2つ以上の舞台で戦い抜くにはそもそも量が足りない。
川森敬史社長と柳田伸明強化部長がさらなる選手補強を示唆しているように、目標達成のためには今後加わるであろうラストピースの存在が欠かせないだろう。
4年目となる「長谷部アビスパ」は、堅守をそのままに攻撃に新たな色を加え、前評判を覆すことはできるだろうか。
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