
堅守速攻だけではないモウリーニョの強み
モウリーニョ監督の真骨頂は、どんな攻め方や守り方もでき、あらゆる相手に対して接戦に持ち込めるチームを作ること。2004/05シーズン以降に率いたチェルシー、インテル、レアル・マドリード、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムでは超守備的なアプローチで臨む試合も少なくなかったが、堅守速攻に特化したチーム作りをしているわけではない。
特に2003/04シーズンまで指揮を執ったFCポルトや、現在率いているローマでは自軍のボールポゼッションで試合を落ち着かせ、自陣後方からのパスワークで相手のプレスを丁寧に掻い潜ることにも注力している。今節のインテル戦でも、前線に上がってハイプレスに加わるインサイドハーフのバレッラの背後にペッレグリーニが降り、ここを起点にビルドアップを行おうとする場面もあった。

ローマが自陣でパスを回した前半33分50秒以降の場面でも、ハイプレスに加わったチャルハノールの背後にディバラが侵入し、スモーリングからの縦パスをレシーブ。その後ボールはクリスタンテ、スピナッツォーラの順で繋がっている。インテルの右ウイングバック、デンゼル・ドゥンフリースとの1対1にスピナッツォーラが敗れてしまったが、相手のハイプレスを掻い潜ることはできており、ローマのビルドアップの質の高さが窺える場面だった。
昨季序盤に採用していた[4-2-3-1]、中盤戦以降に採り入れた[5-3-2]([3-1-4-2])や今節の[5-2-3]など、モウリーニョ監督のもとで布陣や戦い方の幅を広げているローマ。来季のUEFAチャンピオンズリーグの出場権獲得に向け、視界は良好だ。
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