山岸のこれまでのキャリア
福岡で、J1で、確かな地位を築いている山岸だが、ここまでの道のりは長かった。尚志高校(福島県)時代に第90回全国高校サッカー選手権大会(2011-2012)で優秀選手に選出。流通経済大学(茨城県)では江坂任(浦和レッズ)と前線を形成し、総理大臣杯やインカレ優勝に貢献した。
2016年にザスパクサツ群馬へ入団すると、FC岐阜、モンテディオ山形と、J2のクラブを渡り歩く。各クラブで定位置を掴んではいたものの、得点数は多いとはいえない。その時点でJ1の得点ランキングに名を連ねる今の姿を、想像できた人は少なかったのではないか。
1つの転機となったのは、2020シーズンだ。山形で開幕から全試合に出場し、チームトップの6得点を記録すると、10月に福岡へと移籍した。当時の福岡は山形同様にJ2所属ながら昇格圏に位置しており、ラストピースとして獲得したのが山形のエース山岸だった。シーズン終盤、特例で設けられた登録期間での移籍だがすぐに馴染み、J2第41節愛媛FC戦で得点を挙げて昇格を手繰り寄せた。
そして昨2021シーズン、自身初のJ1に挑むとチームトップタイの5得点を記録。福岡をJ1でクラブ最高順位となる8位に導いた。今2022シーズンも開幕からスタメンを勝ち取ると、第26節終了時点で4試合での決勝ゴールを含む7得点。人気・成績ともにさらに評価を上げている。
この夏の移籍市場では、G大阪から山岸へオファーがあったと報道された。チーム内だけでなく、他チームからも評価が高いことの証だ。
万能型ストライカーとして自身初の2桁得点へ
山岸はこれまで所属したクラブで、さまざまなプレッシャーと戦いながらプレーしてきた。群馬や岐阜では、J2の残留争い。山形では、J1への昇格争い。そして現在は福岡でJ1の残留争いの真っ只中だ。
胃の痛くなるような試合が続くことになるが、過去の経験を力に換えることでチームを救える場面でもある。大事な試合で貴重な得点に絡む活躍をみせてこそ、エースストライカー。残り試合で「山ピース」を見られる回数が多いほど、クラブの未来も、山岸のキャリアも、明るいものとなるはずだ。
自身初のシーズン2桁得点を達成するとともに、福岡を2年連続のJ1残留に導く活躍をみせたいところである。
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