明治安田生命J1リーグで昨2021シーズン悲願の残留を達成したアビスパ福岡が、正念場を迎えている。今2022シーズン第20節、第21節と連勝し中位につけていたが、7月下旬からチーム内に新型コロナウイルス陽性者が続出。累計で30人を数え、8月6日に予定されていた第24節のガンバ大阪戦は最低登録人数の13人を揃えられず中止となった。
そんなギリギリの状態でも、JリーグYBCルヴァンカップ(ルヴァン杯)では少ないチャンスを生かして、準々決勝ヴィッセル神戸戦(8月3日・10日)で2戦2勝。クラブ初の準決勝進出を決めてみせた福岡。しかしリーグ戦では大きな影響を隠せず、直近のJ1第26節川崎フロンターレ戦(8月20日)では今季最多の4失点で敗れ(1-4)現在3連敗中。自動降格圏の17位G大阪とは勝ち点差5、J1参入プレーオフに挑むこととなる16位ヴィッセル神戸とは勝ち点差3の、13位にまで順位を下げている。
そんな2年連続のJ1残留に向け紙一重の戦いを続ける福岡において、気を吐いている選手がいる。チームトップの7得点を挙げ、川崎戦でも唯一の得点を決めたFW山岸祐也だ。
トップスピードは驚異の35.7km/h、他多数ランクイン
福岡でトップの7得点にして、J1得点ランキングでも10位タイにランクインしている山岸だが、プレーを観ていると明確な武器は見つけにくい。個性がないわけではなく、何でもこなせてしまうのだ。データ面から特長を探してみると、複数の部門でリーグ上位にランクインしており、そこからやや意外かつ強烈な特長がみえてきた。
1つ目は、トップスピード。大きなストライドで長い距離を駆け上がる外国籍選手が印象に残りやすいが、上位2人は日本人選手が占める。3位はマルシーニョ(川崎フロンターレ)らの35.2km/h、2位は小田裕太郎(ヴィッセル神戸)の35.3km/h。そして1位が、35.7km/hを記録した山岸である。長い距離のスプリントを繰り返すわけではないが、得点を奪うために重要な短い距離のスピードでは群を抜いている。
さらに、パスへの意識も高いことがわかる。スルーパス数はリーグ全体で4位、FWでは1位となる68回を記録している。また、敵陣での空中戦勝利数もリーグ8位の67回など、さまざまな分野で上位にランクインしている。
その他に福岡サポーターの間では、柔らかな胸トラップ、決定力への評価も高く、ゴールパフォーマンスの「山ピース(親指、人差し指、小指を伸ばしたポーズ)」も相まって人気は非常に高い。今年行われた「第10回アビスパ福岡選抜総選挙」で初の1位に輝いていることが、その証だ。
コメントランキング