やや不安の残る松本と北九州
松本山雅FCとギラヴァンツ北九州はともに、安易に失点を重ねた守備がJ3降格の主要因になっており、さらに多くの主力がチームを離れた。J3リーグにおいては上位の戦力を保持するが、課題の解消に向けてやや不安が残る。
最下位でJ3降格となってしまった松本山雅は昨年、戦力のバランスが崩壊。山口一真、阪野豊史、鈴木国友、伊藤翔など過剰にFWを抱えていたのだが、この4人はいずれもチームを離れた。苦しい試合を個の力で打開してきたセルジーニョも契約満了となり、1年前とは対照的に誰が得点を取るのかという不安は否めない。GKにはモンテディオ山形からビクトル、CHにはファジアーノ岡山からパウリーニョを獲得と外国籍選手の獲得は的確に進めたため、彼らの活躍と名波浩監督の手腕が重要なシーズンとなる。
21位でJ3降格となった北九州は降格4クラブで最も厳しいオフを過ごした。髙橋大悟や村松航太、新垣貴之、生駒仁、富山貴光といった昨季の主力がチームを離れ、中山雄希、髙澤優也、藤原広太朗、藤川虎太朗など一定の出場機会は得ながらも近年レギュラーではなかった選手が補強の中心。J2リーグ復帰のためにJリーグ全体でも上位に入るミクニワールドスタジアム北九州で、サポーターの力を味方に付けたい。さらにはヴァンラーレ八戸のエースだった上形洋介ら攻撃陣の奮起と、コーチで長年経験を積み満を持してトップチームの監督に挑む天野賢一氏の力量が重要なファクターとなる。
旋風を巻き起こした宮崎、旋風を巻き起こし得るいわきFC
2021年、J3リーグ1年目ながらリーグ屈指の完成度で3位に入ったテゲバジャーロ宮崎は、J2ライセンスがないことで多くの主力選手が流出。J3リーグ全体をみても最強の2トップだった梅田魁人と藤岡浩介を筆頭に、前田椋介、渡邊龍、井原伸太郎、大畑隆也らが移籍した。
ただチームの心臓である千布一輝が残ったことは非常に大きく、守備の安定を図れる選手とコンビを組むことができれば中盤は安定するはずだ。FWの軸になり得る元日本代表の工藤壮人らも加え、高崎康嗣新監督がチームをまとめることができれば、再び上位争いに加わる可能性はある。
JFLを制しJの舞台に辿り着いたいわきFCは、昨年の宮崎と同じように継続路線を選択し1年目から上位を窺う。いわきFCパークという専用グラウンドやクラブハウスを保有し、筋力トレーニングを中心に鍛えぬくスタイルがどこまで通用するのか楽しみだ。この独自路線が日本サッカーのスタンダードとなる日は来るのだろうか。
この他にも、攻撃的なサッカーでY.S.C.C.横浜を8位に引き上げたシュタルフ・悠紀リヒャルト氏を新監督に迎えたAC長野パルセイロ、ロメロ・フランクや有田光希といった即戦力を数多く獲得することに成功した鹿児島ユナイテッドなど、楽しみなクラブは多い。
激闘を制し上位争いを演じるのは、そしてJ2リーグへの昇格の切符を掴むのはどのクラブになるのだろうか。
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