近年、明治安田生命J3リーグの昇格争いが激化している。2014年に新たに生まれたJ3リーグは、当初11クラブでスタート。うち1つは特別参加枠の「Jリーグ・アンダー22選抜」だった。2016年からはFC東京、ガンバ大阪、セレッソ大阪のU-23チームが参戦するなど、クラブによってこのリーグの位置付けは異なっていた。2020年まででU-23チームの参加は終了した。
3月12日に開幕する今2022シーズンのJ3リーグは、J2リーグから降格した4クラブ(愛媛、相模原、北九州、松本)とJFL(日本フットボールリーグ・実質4部相当)から昇格した1クラブ(いわきFC)を加え、過去最多の18クラブで争われる。現時点ではJFLへの降格はないとはいえ、間違いなくこれまでで1番厳しいものとなるに違いない。
ここでは激化するJ3リーグの昇格戦線、上位争いがどのようなものになるのか考察する。
大型補強を行った岐阜
2022シーズンに向け、現時点で最も注目されているクラブは間違いなくFC岐阜(昨年6位)だろう。
元日本代表の田中順也、宇賀神友弥を筆頭に、菊池大介、庄司悦大、岡村和哉、藤岡浩介といった実績豊富な選手を獲得。昨年のJ3得点王の川西翔太こそカターレ富山に移籍したものの、得点ランキング2位の藤岡浩介と田中順也を加えるなど手当てが非常に素早く、J3リーグとは思えないほどの大型補強となった。また外国籍選手もへニキ、フレイレと昨年J2リーグでプレーしていた選手を獲得。来日に支障がなく、いずれもJ2以上のリーグでの実績が豊富なため計算が立つ。
この面々を率いるのは、Jクラブの監督を歴任し2014年からはベトナムで経験を積んできた三浦俊也新監督。守備の安定に定評のある監督だが、他のクラブとは異なる補強方針はどちらに転ぶだろうか。
着実に戦力を増した富山
2021年は4位でJ2昇格を逃したカターレ富山も今シーズン昇格の有力候補だ。
音泉翔眞は水戸ホーリーホックへ、戸根一誓もいわてグルージャ盛岡へ移籍したが、チームの背骨となるポジションのスケールアップに成功している。CBにはJ3リーグで主力を張っていた大畑隆也、鎌田翔雅を、CHには昨年J1リーグで一定数出場したアルトゥール・シルバと柴田壮介を、そしてFWには昨年のJ3得点王・川西翔太を獲得。
2015年以来のJ2復帰へ、戦力は揃った。あとは昇格請負人、石﨑信弘監督の手腕にかかっている。
経験豊富な選手達を補強した愛媛と相模原
昨年J2リーグから降格した4クラブ(愛媛、相模原、北九州、松本)は、各チームともに主力の流出を完全に防ぐことはできなかった。そうなるとどれだけ流出を抑えられたか、的確な補強を行えたかが重要となるが、その点では愛媛FCとSC相模原に分があるか。
20位でJ3に降格となった愛媛は、石丸清隆氏を新監督に招聘。2014年以来の復帰となる。藤本佳希や川村拓夢、茂木力也、岡本昌弘、小暮大器らがチームを離れるなど主力の移籍は多かったものの、着実に補強を行った。近藤貴司、栗山直樹、高木利弥と昨年期限付き移籍で加入していた選手達を完全移籍に移行。さらに元日本代表の森脇良太を筆頭に松田力、佐々木匠、矢田旭、茂木駿佑らを獲得し、リーグ屈指の戦力となっている。
19位で初のJ2リーグ挑戦を終えた相模原。平松宗や三浦基瑛、期限付き移籍で加入していた選手の多くはチームを離れたが、主力の流出を可能な限り抑えることに成功している。加えて水本裕貴、渡部大輔、鎌田次郎、柴崎貴広、圍謙太朗と守備陣を積極的に補強し、中原彰吾や高山薫、船山貴之、中島賢星も獲得。1年での復帰を目指す。横浜FCとV・ファーレン長崎で昇格を経験している高木琢也監督は、「2度あることは3度ある」を実現したいところだ。
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