浦和レッズの状況が苦しい。かつて体現した圧倒的な攻撃力は年々陰りを見せ、目標としているACL出場圏内も遠のくばかりだ。一方、わずか9勝しかできなかった昨シーズンから比較すると、今シーズンはリーグ戦半分を終えて既に9勝と前年超えは達成した。それでもチームから感じられる印象はネガティブな要素が多く、不満を吐露する人々もそれに応じて比例している。
そんな近年の浦和レッズの状況がマズいと考える理由をいくつかご紹介したい。
スター選手を揃えることが仕事と考えている
圧倒的な入場料収入・スポンサー収入を背景に、浦和は毎年豪華な選手補強を実施している。しかしあれだけの補強合戦を展開しながらもリーグ戦では上位に浮上することができていない。私は「個人能力の長けた選手を揃えていれば勝てる」という過去の幻想を未だに抱いているからではないかと考える。かつてロブソン・ポンテ(2005-2010)やワシントン(2006-2007)たちが繰り広げたような個人の閃きだけでは現代フットボールの勝者になることは到底不可能である。
フットボールは時として個での打開に依存することも必要だが、以前と比べて組織単位での連動性が求められる傾向にある。相対的に見たとき、浦和レッズは連動性に欠けておりゲームコントロールができていないことは誰の目から見ても明らかである。川崎フロンターレやセレッソ大阪といった、かなり組織に重点を置く相手との対戦で実力差がスコアとともに表れたのも今回の浦和レッズの悲惨な状況を物語っていることだろう。
闘争心が希薄化している
個々の意識はともかくとして、チーム全体において闘う意識が希薄化していることも問題点として挙げられる。コミュニケーション不足なのか単なる慢心なのか、ボールへの寄せ方がとにかく緩く、球際への集中力は改善が必要と考える。
9月26日に行われたJ1リーグ第19節横浜FC戦(0-2)の2失点目は、まさにボールへの寄せの甘さが失点につながったと言える。最終ラインからのビルドアップへのケアが抽象的で、最終ラインからボールを受けたレアンドロ・ドミンゲスをフリーにさせてしまった結果、松尾佑介の絶妙なアシストを演出され痛恨の2失点目を喫した。治療によってピッチから離れていた柏木陽介のスペースを活用されたという不運があったにしろ、試合前からあれだけ要注意人物と言われていたレアンドロ・ドミンゲスへの対処を疎かにしたことからもチーム全体で闘うという共通理解が足りていないというのは明らかである。
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