セリエA インテル

冬の移籍期間がスタート。インテルは誰を獲得すればセリエA優勝できる?

写真提供: Gettyimages

12月末。インテルは素晴らしい成績で2019/2020セリエAリーグのターニングポイント(半分)までたどり着いた。現在1位に位置している。アントニオ・コンテ監督が指揮を任されてからこうなることを予測した人は多いかもしれないが、この結果はそこまで当たり前なことではない。

まず選手のクオリティ面を考えると、インテルはまだユベントス(現在得失点差で2位)に負けている。コンテ監督自身もそう言い続けているが、今のインテルは一瞬でもアクセルから足を離せば、一気にユーベに追い越されてしまうだろう。それを避けるためには今年の冬の移籍マーケットがとても重要な期間となり、インテルはその差を詰めなければなりません。

誰を獲得すれば、インテルはユーベとの差を縮められるだろうか?

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ウイングバックが足りない

現在のインテルの一番の弱点は、ウイングバック(3-5-2のフォーメーションで5人いるMFの左右両端に位置するポジション)が足りないことです。現在その役割をカバーできるのは、クワドォー・アサモア、クリスティアーノ・ビラーギ、ヴァレンティーノ・ラザロ、そしてアントニオ・カンドレーバ。

今シーズンが始まってから、唯一それなりのクオリティを見せたのはカンドレーバだったが、その良いパフォーマンスは長く維持できなかった。コンテの3-5-2でのウイングバックは体力的にも精神的にも“キツイ”ポジションで、試合の読みがとても重要となる。

ビラーギは90分を越えても切れないスタミナの持ち主だが、試合のビジョンがある選手とは言えない。ラザロは前線で活躍できても、守備に戻らなければいけない時にサボることが多い。そしてアサモアは体力面で良いパフォーマンスを継続できないのが課題。

インテルはこの弱点を回復するために、チェルシー所属のマルコス・アロンソを狙っていると言われている。コンテ監督はチェルシーの指揮官だった時から彼のことをよく知っており、とても良いチョイスだと思う。確かにこの数年は少し体力が落ちたかもしれませんが、プレミアリーグと比べたらセリエAのペースは少し遅めなので十分活躍できると思います。

もう1人の面白い選択肢は、アタランタからパルマ・カルチョにレンタル移籍中のデヤン・クルゼフスキです。彼の本来のポジションはトップ下だが、今年のパルマではウイング、または4-3-3のサイド・ミッドフィルダーとしても活躍しています。このクルゼフスキは今シーズンの現時点までで、インテル所属のマルセロ・ブロゾヴィッチに続き最も長い距離を走った選手となっている。19歳という若さでまだまだ経験を積む必要があるが、体力と複数のポジションをカバーできる点で、コンテ監督の新しい戦力になる可能性が高い。

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中盤の選手を一人獲得すべき

最近のインテルは中盤の選手の怪我に苦しみ始めた。ステファノ・センシ、ニコロ・バレッラ、そしてロベルト・ガリアルディーニが試合に出場できてない時、インテルの中盤のクオリティは一気に落ちる。

特にバレッラの欠場時に至っては、ボルハ・バレロとマティアス・ベシーノが力を合わせても、彼一人の仕事の量をこなすことができない。チームは中盤から攻撃を組み立てられなくなり、前線に長いボールを送ってフォワードに直接頼らざるを得なくなる。

バルセロナのアルトゥーロ・ビダルがインテルに移籍すれば、中盤のレベルは一気に上がるだろう。現在のインテルでは経済的に彼の獲得は厳しいが、ビダルはボーナス未払いでクラブを訴えたことでバルサとの関係が崩れつつある。ビダル自身はインテルに行きたいと言っているので、バルサと値段の交渉ができればセリエAに復活(2011〜2015年ユーベに所属)する可能性は十分にある。

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チームを支えられるストライカーがもう一人必要

今シーズン新しく誕生したFWコンビ、ラウタロ・マルティネスとロメル・ルカクの息がぴったりです。インテルが中盤の怪我で困った時も、二人にボールを回してなんとかなった。しかし、セリエA優勝が目標なら、二人だけに攻撃を任せるのはあまり良くない。二人のうち一人でも怪我をすれば、インテルの攻撃力は一気に下がる。

現在インテル所属のアレクシス・サンチェスとマッテオ・ポリターノは、彼らの代わりにはなれない。とは言え、ルカクとマルティネスのようにストライカーの仕事をこなしながら、場合によってはゲームメイクもできるような選手を見つけるのは意外に難しいことです。

インテルが現在狙っているのはチェルシーのオリヴィエ・ジルー。彼なら高いボールのターゲットにもなれるし、一旦下がってチームメイトのビルドアップに協力することもできる。しかし彼の限界を挙げるとすれば、一人の力で守備を越える突破力がない。

インテルが移籍マーケットで良い取引ができれば、最後までセリエA1位の座を守ることは無理な話ではない。むしろ、ユーベがマウリツィオ・サッリ監督のサッカーを吸収することにまだ時間がかかる場合、インテルがユーベを一気に引き離す可能性も出てくるだろう。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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