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イタリア代表が再び頂点に立つ理由!マンチーニ監督の新スタイルに期待

写真提供: Gettyimages

ようやく、イタリア国民は再びサッカーを楽しむことができる!この数年パッとしなかったイタリア代表が素晴らしい結果を残しつつあって、観戦する方は半端なく現在のチームのパフォーマンスを楽しんでいる。

ロベルト・マンチーニが指揮するアズーリ(イタリア代表)が、ユーロ2020予選で圧倒的な力を見せつけたのは素晴らしいこと。しかし、イタリア代表が残しているのは短期的な結果だけではない。イタリアが再びサッカー界の頂点に立つ強さを取り戻すための長期的な計画もはっきり考えられている。

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データ上で見るイタリア代表

まずは最近の歴史に残る成績をみましょう。まずイタリアは、2018年11月20日のアメリカ代表戦(1-0)から今年11月18日のアルメニア代表との圧倒的な勝利(9-1)を通して11連勝をした。この素晴らしい成績は1938年と1939年の間のポッツォ監督時代のイタリア代表の9連勝を上回る、新記録となっている。

また、 ユーロの予選の長い道のりでイタリア代表は37得点を獲得し、4失点しかしていません。特にこのチームは泥臭くても、苦手にしていたアウェー戦でも勝利を掴むようになった。(現在のアウェー6連勝で1963年の記録も更新)

そして一番重要な結果的なこととして、予選試合が3戦まだ残っていたにも関わらず、ギリシア戦の勝利で1ヶ月の余裕を持って、イタリア代表はユーロ出場を決めた。この出来事もイタリア代表の歴史には初めてのことである。

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イタリア代表は生き生きしていて、情熱が伝わる

数年前までのイタリア代表は、天才選手のレベルの高い個人プレーに頼りすぎていた。2006年のFIFAワールドカップ優勝まで、ピルロ、デル・ピエーロ、トッティなど、世界のトップレベルの選手がイタリア代表を強くし、いい結果が残せた。しかし、ゴールデンジェネレーションと呼ばれていた選手たちは一人も残らず引退し、昔のようなサッカースタイルを今もやり続けるのは無理な話。

現在、イタリア代表は「天才の集まり」のチームから「メンタリティと動力」のチームに変わった。攻撃的に試合に挑む時も、守備的になる時も、メンバー全員が集中して、勝ちのみにこだわっていることがすごく伝わっている。

これはおそらく、マンチーニがすべての選手からベストを引き出しているからだと思う。すべての選手がやりたいポジションでやりたいサッカーをしている印象が強い。

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マンチーニは選手に合わせてサッカースタイルを再考した

現在イタリア代表のメンバーで勝敗に大きく影響する選手はボヌッチ、ジョルジーニョ、ヴェッラッティ、ベルナルデスキ、そしてインシーニェです。彼らは高いクオリティがあり、ボールを触ることが大好きなタイプの選手。そのためにマンチーニはポッセションを中心にしたイタリア代表を立ち上げた。

確かに、それだと守備的にリスキーな部分もあるかもしれないが、チームの全員はゲームを支配できることで、生き生きしたプレーができる。サポーターも久しぶりに代表戦でワクワクを感じて、異常に楽しんでいると言われている。

選ばれている若手選手もフィジカルより、ポッセション・サッカーができるクオリティが高い選手ばかり。その中で一番目立っているのはインテル所属の二人の新星、ニコロ・バレッラ(22歳・176cm)とステファノ・センシ(24歳・168cm)です。彼らはクラブではコンテ監督の下で素晴らしい成長を見せていて、代表の中心選手になるに違いない。そして、忘れちゃいけないのはフィオレンティーナのフェデリコ・キエーザです。22歳の若い年齢で、既に欠かせないスタメンになっている。

ミスは未だにたくさん見られるが、選ばれているすべての若手選手はボールを足元で扱い、ファンタジーのある面白いプレーをするのが好き。そして怖がらずに、前へ前へというアグレッシブなスタンスでイタリアを輝かせている。

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これから課題が出てくるのであれば…

最近マンチーニはインタビューでこんなことを口にした。「2020のユーロに向けて、これから新しいメンバーを加えることは考えてない。大会までそんなに時間はないし、選ばれたことのない選手をこれからこのチームにフィットさせるには時間が足りない」と…。

確かに、私もその通りだと思います。しかし、代表はクラブではありません。国の最強の選手を選ぶのは最優先ではありませんか?これからイタリアで輝く選手が出てきたら、代表に呼ばれないというのは根本的に間違っていると思う。また、ユーロという大会は選手のやる気に繋がる大会である。このスタンスはイタリア国内でプレーしている選手の活躍に悪い影響を与える選択でもある。

しかし、代表をクラブ扱いしている監督はマンチーニだけではない。これはスペイン代表やドイツ代表を強くしたシステムでもあるので、結果の面だけで考えると、悪いチョイスではない。

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マンチーニ率いるイタリア代表に期待できる理由

マンチーニは新しいイタリアの発明者と考えてもいいと思う。彼の現在の目標は結果を出すことではない。長い間イタリア代表を支える選手を教育し、新しいスタイルを生み出すことです。結果がすぐついてきたことは喜ばしいことだけど、プラスの一つに過ぎない。楽しいのはこれからだ。

マンチーニはイタリアの監督になった時に選手の前でこう語った。「私たちは昔と違うことをやらなければならない。試合を支配して、ボールを奪われたらすぐ切り替えて、奪い戻すのが重要。最初の目標は勝つことではない、イタリア代表がなくしたサポーターの信用を可能性のあるプレーで取り戻すことです」

そして最近「私は選手たちに驚かされてばっかり…まさかこんなに早く私の頭の中にあったサッカーのイメージを実現させるとは…素晴らしいプロの集まりです」と発言。

いい素材と腕の良いシェフが揃えば、とても美味しい料理が出来上がる。同じように、今のイタリア代表には無限の可能性を感じさせられる選手、そして最強の指導者が揃っている。世界の頂点にもう一度立つ日はそんなに遠くない。

名前Uccheddu Davide(ウッケッドゥ・ダビデ)
国籍:イタリア
趣味:サッカー、アニメ、ボウリング、囲碁
好きなチーム:ACミラン、北海道コンサドーレ札幌、アビスパ福岡

14年前に来日したイタリア人です。フットボール・トライブ設立メンバーの1人。6歳の時に初めてミランの練習に連れて行ってもらい、マルディーニ、バレージ、コスタクルタに会ってからミランのサポーターに。アビスパ福岡でファビオ・ペッキア監督の通訳も務めた経験があります。

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