プレミアリーグ トッテナム

今シーズンを象徴する3試合【トッテナム編】

著者:秕タクヲ

今シーズン最もサプライズを起こしたチームの1つにトッテナムは確実に取り上げられることだろう。まずは今シーズンの補強が0だったこと。そして2019年4月までホームスタジアムがなかったということ。満身創痍の中プレミアリーグ4位フィニッシュやチャンピオンズリーグ決勝まで駒を進めたということも語らないわけにはいかない。最低のシーズンで、最高のシーズンをトッテナムは過ごしたのではないかと私は考える。そんなトッテナムの今シーズンを物語る3試合をご紹介したい。



【プレミアリーグ27節 バーンリー戦(A) 2-1●】

トッテナムは毎シーズン後半戦から尻上がりに調子を上げていく傾向にある。今シーズンも順調に調子を上げていくように見えたが、ボタンの掛け違いが生じチームが低迷することになってしまった。そのきっかけとなった試合をピックアップしたい。

プレミアリーグ22節のマンチェスター・ユナイテッド戦で負傷離脱することになったハリー・ケインがこの試合で復帰し、ソン・フンミンと2トップを組むことになったが、試合勘が鈍っているのかゴールに迫るいつもの攻撃は鳴りを潜めた。またルーズボールが全く奪えず、ボールロストも散見されバーンリー相手に苦杯をなめる結果に。トッテナムこの試合で補強をしなかったしわ寄せを喰らうことになった。

毎試合のようにシステムを変えながら蓄積する疲労を分散させる対策を特に今シーズンは講じていたが、アグレッシブさが売りのトッテナムでさえ疲労に打ち勝つことができなかったのだ。



【チャンピオンズリーグラウンド8 シティ戦(A) 4-3●】

リーグ戦での低空飛行とは裏腹に、チャンピオンズリーグで戦う勇敢さは何か熱いものを感じさせた。トッテナムの新スタジアムで挑んだ1stレグはソン・フンミンのゴールを守りきり1-0でマンチェスターシティに勝利して折り返す。2ndレグであるこの試合もラヒーム・スターリングに開始4分で先制されるもショートカウンターから流れるようにボールを運び、またもやソン・フンミンがシティを仕留めにかかる。一時は1-2と逆転する時間もあったが、シティの猛攻をしのぎ切ることができずに4-2とビハインドとなった。

このまま終わってしまうのかと諦めムードが漂う中、トッテナムは2人の救世主によって準決勝進出を決めた。1人目はフェルナンド・ジョレンテ。少ないチャンスの中で得たCKにきっちりと合わせてトッテナムが3点目を決めて準決勝進出に大きく一歩前に出た。このまま試合が終わればトッテナムが勝ち上がることになる。そして2人目の救世主はVARだ。後半アディショナルタイムにクリスティアン・エリクセンがボールロストしたところをセルヒオ・アグエロがスターリングにつないでゴールしたが、その前のアグエロのプレーがオフサイドであるとVARが判断しゴールが無効に。最後までハラハラさせられた試合はトッテナムがアウェーゴールの差で準決勝進出を決めた。



【チャンピオンズリーグ準決勝 アヤックス戦(A) 2-3○】

トッテナムには救世主がまだ存在した。今度はルーカス・モウラがトッテナムを決勝へと導く活躍を見せたのだ。1stLegではホームアドバンテージを生かすことができないまま0-1で敗戦を喫し、2ndLegであるこの試合も前半だけで2失点し決勝進出が絶望的な状況に陥った。

そんな中マウリシオ・ポチェッティーノは後半にジョレンテを投入。ジョレンテの周囲をデレ・アリやルーカスが連動的に動き攻撃のチャンスを広げていった。ポチェッティーノの采配は的中し55分、59分にそれぞれルーカスが得点を上げあと1点というところまでアヤックスを追い詰める。CKからヤン・フェルトンゲンが頭で合わせて一瞬ゴールに吸い込まれたかと思われたがゴールライン上でディフェンスがブロックし得点とはならず。トッテナムは幾度となくチャンスを作るが最後のフィニッシュまで辿り着けないまま後半アディショナルタイムに突入した。

アディショナルタイム5分に差し掛かったラストプレー。ジョレンテが競ったボールにアリが反応しルーカスへ。ダイレクトで放ったルーカスの左足のシュートは見事にゴールネットを揺らした。このルーカスのハットトリックによってトッテナムはアヤックスを下し、クラブ史上初のチャンピオンズリーグ決勝進出を決めた。


 

名前:秕タクオ

国籍:日本
趣味:サッカー、UNO、100均巡り

サッカー観戦が日課のしがないサラリーマンです。かれこれ人生の半分以上はサッカー観戦に明け暮れ、週末にはキルケニー片手にプレミアリーグやJリーグにかじりついています。

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