大会:Jリーグ
カード:ヴィッセル神戸対V・ファーレン長崎
スコア:1-1
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審
マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):アンドレス・イニエスタ
後半14分から途中投入。得点に絡むことは出来なかったが、周囲との圧倒的なレベル差を見せた。
ザ・ハード・ワーカー(THW):澤田崇
見事な戦術眼と技術で先制点を奪取。守勢に回る中で粘り強く与えられたタスクをこなした。
モースト・ディサポティング・プレーヤー(MDP):テーラトン・ブンマタン
試合終了間際に不要なレッドカードで反撃の芽を摘んでしまった。
ヴィッセルの攻撃vsV・ファーレンの守備
ヴィッセル:前節は4-4-2を採用したが、今節は4-3-3へと布陣を変更。
アンカーに藤田、インサイドハーフに三田と郷家を起用。前線3枚の一角であるポドルスキは自由を与えられ、サイドに流れる場面やビルドアップにも関与する場面が多く見られた。最前線にはパワーのウェリントンとスピードの古橋を組ませた2トップが配置されている。
前節と比較すれば飛躍的にビルドアップの精度が高まっている。V・ファーレンはDMF藤田を消して両CBに自由を与える戦法をとってきたが、タイミングよくマーカーを外した2トップへの縦パスを躊躇なく入れる場面も多く見られた。
しかし、V・ファーレンはコンパクトな陣形を保っていたため、ペナルティエリア内まで侵入することは難しい状況に陥った。密集した選手間でボールを受けるためには高い技術力が必要だ。判断スピードと相手の穴を見つける戦術眼は今後ヴィッセルが高めていく分野だろう。
その点、途中投入されたイニエスタはレベルの違いを見せつけた。左サイド低い位置でボールを受けると、運ぶドリブルで相手を食いつかせ、守備ブロックの狭いギャップにボールを通す。V・ファーレンのボランチ間の距離が開きすぎた隙を見逃さず、選手間でボールを引き出す。インサイドハーフに求められる知性を遺憾無く発揮していた。
V・ファーレン:高木監督はビルドアップの中心となるDMF藤田に対してファンマをマークにつけて常に監視するように命じている。両CBに対してはボールをもたせ、澤田と大本は中央へのパスコースを切りながら対応。状況によって両WGが連動して相手SBへとプレスをかけた。
後半に入り、全体が間延びしたことでチャンスは作られたが、ライン間の距離を狭めたコンパクトな陣形を極力保つ努力は見て取れた。
V・ファーレンの攻撃vsヴィッセルの守備
V・ファーレン:ボール保持率31%とカウンター攻撃が基本軸となった。
WBが躊躇なくサイドを駆け上がり、逆サイドのWBはペナルティエリア内まで侵入し、クロスボールに飛び込んだ。ヴィッセルの守備の戻りが遅かったことも影響し、ペナルティエリア内で数的同数を創出。カウンターから決定的な場面を作ることに成功している。
ヴィッセル:守備ブロックは基本的に4-3の陣形。被カウンター時の対応は脆弱性を見せた。
DMF藤田がカウンターから前線に飛び出していった際にカバーする選手はいない。また、DMF藤田がサイドにつり出されると、中央にスペースがぽっかりと空いてしまう。三田と郷家が戻り遅れても、DFライン4枚の前には広大なスペースが生まれる状態だ。
ポゼッションを基本軸にしているとはいえ、インサイドハーフを含めた攻撃陣の守備意識の低さは問題だろう。
ヴィッセル神戸監督:フアン・マヌエル・リージョ
前節と比較すればボールの巡りは改善された印象だ。しかし、スペースを使う意識はまだまだ発展途上だ。また、チームとしての守備の協調性は欠けており、選手がカバーするエリアも明確にしていきたい。
V・ファーレン長崎監督:高木琢也
最下位に沈んでいるが、チームが一体となった守備を敢行し、積極的な攻撃姿勢を失っていない。しかし、相変わらずセットプレーから失点。早急な改善が求められる。
主審:家本政明
副審の判断ミスも多かったが、間違いなく選手は審判に不信感を抱き、判定にフラストレーションを溜めていた。テーラトンの退場は妥当な判定。
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