代表チーム 日本代表

W杯からの継続と世代交代…新たな時代の扉を開く森保ジャパンへの期待

サンフレッチェ広島時代の森保一監督 写真提供:Getty Images

 今後の数年間は世代交代が重要なテーマの一つとなるが、しばしば選手の入れ替えを強いられながら若手を含めた適材適所の選手起用でサンフレッチェが結果を残し続けたことを考えれば、その点でも期待が持てるだろう。

 具体的にはロシアW杯行きを逃した中島翔哉、堂安律、伊藤達哉といった欧州で結果を残す若き才能の組み込みは、チーム作りの早い段階で実現していく必要がある。より長期的なスパンでは、東京五輪世代からも冨安健洋、中山雄太、久保建英ら有望選手の成長を促しA代表へ引き上げることが期待される。

 現時点で広島時代の戦術的要素がどれほど日本代表に持ち込まれるのか予想するのは難しいが、当時のサッカーを参考とするならビルドアップ能力に優れサイドでもプレーできるセンターバック、個人でドリブル突破を仕掛けられるウィング、一瞬のスキを突ける点取り屋タイプのストライカーといった特徴を持った選手には代表入りのチャンスが広がるかもしれない。

 ただ代表チームでは型に選手をはめるだけでなく、特定の主力選手の持ち味を最大限に引き出すチーム作りが求められる。既に世代別の代表チームを率いてきたとはいえ、クラブチームとは異なるタスクをどのように消化してくのかは注意深く見守っていく必要があるだろう。

 またハビエル・アギーレ監督やバヒド・ハリルホジッチ監督の招聘の際に重要視されていた国際経験が不足していること、それにもかかわらず五輪監督との兼任という重責を背負わなければいけないことは、不安要素として挙げられる。

 こうした困難な課題を乗り越えるためには、サッカー協会が万全のバックアップ体制で新監督を支えることが必要不可欠になる。それが実現すれば、日本人指揮官の率いる日本代表という新たな方向性が、日本サッカーの新たな時代の扉を開く可能性は十分にあるだろう。

著者:マリオ・カワタ

ハンガリー生まれドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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