ワールドカップ 代表チーム

前評判を覆した日本代表。西野監督は何を変えたのか?


 2.前線の守備

 コロンビア戦で1失点、セネガル戦で2失点と計3失点を喫しているが(うち2失点がGKのミス絡み)、ワールドクラスの対戦国相手に守備は機能していると言って良いだろう。(香川真司の守備も勿論高評価すべきだが)興味深いのは両サイドハーフの守備だ。

乾貴士 写真提供:Getty Images

 まず、エイバルの指揮官ホセ・ルイス・メンディリバル監督には感謝しなければならない。コロンビア戦、セネガル戦で乾貴士はSBへのパスコースを消しながら、CBにプレッシャーをかけるポジション取りでチーム全体の後退を喰い止めている。チーム全体が後退すれば、体格差によってゴールを割られるのは時間の問題となるが、乾が左サイドを封鎖したことによってチーム全体がコンパクトな陣形を保つことが可能となった。これは2015年から3年間かけてメンディリバル監督が乾貴士に叩き込んだ守備戦術だ。今回の日本代表は短期間での準備が強いられたため、チームとしての守備戦術が未整備のまま。乾の個人戦術をチームに適応させた形となっている。

原口元気 写真提供:Getty Images

 一方、逆サイドの原口元気は乾貴士と異なる守備スタイルをとっている。コロンビア戦、セネガル戦ではハリルホジッチ監督式とも呼べる相手のSBをしつこく捕まえ、味方SBをサポートする動きを繰り返した。乾貴士と比べると、相手SBに釣られて日本の右サイドが押し込まれる場面も多かったが、持ち前の走力と守備意識の高さは高く評価すべきだろう。自陣深くまで戻ってくれるため、酒井宏樹が相手選手と1対1になる場面はほとんど見られなかった。酒井宏樹がセネガル戦でサディオ・マネに対して積極的なチャレンジを行えたのは原口元気の献身性によるところが大きいはずだ。

 メンディリバル監督式とハリルホジッチ監督式。異なる両サイドハーフの守備が上手く機能したことが、善戦の要因といえるだろう。

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