Jリーグ 名古屋グランパス

大物外国人選手を活かせない名古屋、スタッツが物語るポゼッションの非効率

名古屋戦での長崎のシュート分布図。赤が枠内、白が枠外、黒が得点、灰色がブロックされたシュートを表す。至近距離、枠内シュートの多さが目立つ。 写真提供:Wyscout

 特にランゲラックは最終的に3失点を喫したとはいえ、長崎戦でも再々の好セーブで孤軍奮闘している。29分と32分に立て続けに1対1のシーンを防ぎ、前半アディショナルタイムには難しいシュートを片手で弾かずにキャッチするなど、さすがのクオリティの高さを見せた。データ分析プラットフォーム『Wyscout』のスタッツによればこのゲームで長崎は8本の枠内シュートを放っており、彼の攻守がなければ名古屋は前半だけで3失点していてもおかしくなかった。

 問題なのは、ランゲラックが好セーブを連発しても間に合わない守備の緩さだ。ブラジル人センターバックのホーシャが欠場し3-4-3の布陣を敷いた名古屋だったが、特に前半のディフェンスは穴だらけの状態だった。例えば試合開始から3分足らずで生まれた長崎の先制点のシーンでは、右サイドで後ろ向きでボールを受けた長崎FWファンマに全く圧力を掛けることなく簡単に前を向かせているが、サイドの深い位置でのマークの受け渡しやカバーリングは前半の45分間を通して曖昧なままだった。個人レベルで見てもディフェンスのデュエルで櫛引一紀は12戦1勝、宮原和也は8戦2勝、途中交代した青木亮太は8戦0勝と完全に後手を踏んだ。

 そしてフィールドの反対側ではジョーが時折そのキープ力や技術の高さを見せたものの、それがチームの戦い方として活かされる場面はまれだった。下がっていったんボールを受けてから前線に飛び出していくなど、味方がボールを持つ時間が長い中でなんとか打開策を試みていたが、最もゴールに近づく可能性が感じられたのは彼にシンプルに長めのボールを送る攻撃だった。ジョーは空中戦でほぼ相手センターバックを上回ることができ、そのまま自身でボールを持つか味方がセカンドボールを狙うことで、いくつかのチャンスを創出している。

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