ブラジル代表は3月24日にモスクワでロシア相手に3-0で勝利、ベルリンで3月28日にドイツ相手に1-0で勝利した。今回はこの2試合から見えた重要な5つのポイントを解説する。
7-1で敗北したドイツへのリベンジではなかった。
ブラジルメディアは今回のドイツ戦を2014年W杯で7-1で敗北した時のリベンジではないと強調している。マヌエル・ノイアー、テア・シュテーゲン、マッツ・フンメルス、サミ・ケディラ、メスト・エジル、トーマス・ミュラーといった主力選手を欠いていたドイツに対して、ブラジルは(怪我で欠くネイマールを除いて)ベストメンバーで臨んだ。ヨアヒム・レーブは23試合連続無敗記録が掛かっていた試合にも関わらず、主力を使わないという判断を下した。2人の監督が明らかに異なる視点で試合に臨んでいた。
2つのプレースタイル。オフェンスとディフェンス(1)
ブラジルのメインのシステムは4-1-4-1だが、チッチ監督は相手に応じて、より攻撃的、守備的なスタイルを採用する。グループステージのスイス戦やコスタリカ、セルビア戦などはボールを持つ時間も長いはずなので、試合の主導権を持って戦うことを期待される。チッチ監督はロシア戦で非常に攻撃的なシステムを採用した。
2つのプレースタイル。オフェンスとディフェンス(2)
右サイドにウィリアン、中央にガブリエル・ジェズス、左サイドにドウグラス・コスタ、フィリペ・コウチーニョとパウリーニョをセントラルにおいて、カゼミーロを中盤の底に敷いた。しかし、トーナメント終盤の世界的なクラスの代表国と戦う際は、もっと守備的なスタイルを採用するべきだろう。
2つのプレースタイル。オフェンスとディフェンス(3)
ドイツ戦で見せたように、カゼミーロ、パウリーニョ、フェルナンジーニョといった守備的な3人を中盤で起用。攻撃的な選手は右のウィリアン、中央のジェズス、左のコウチーニョだけだった。しかし、常に守備だけしているわけではない。ボールを持っていないときはサイドバックは高いスピードでウィングの位置まで上がり、高い位置でプレスをかける。
2つのプレースタイル。オフェンスとディフェンス(4)
ブラジルは守備的なシステムを採用しても、攻撃的なスタイルを維持することができる。ドイツ戦ではフェルナンジーニョがファイナルサードでパスをカットしたところから先制点に繋がった。ウィリアンがクロスを上げた際には、ゴールを決めたジェズスだけではなく、コウチーニョ、パウリーニョ、フェルナンジーニョがエリア内に侵入していた。
チームに欠かせないドウグラス・コスタ(1)
チッチ監督はアリソン・ベッカー、エデルソン・モラレス、ダニエウ・アウベス、マルセロ、ミランダ、マルキーニョス、チアゴ・シウバ、カゼミーロ、フェルナンジーニョ、パウリーニョ、レナト・アウグスト、フィリペ・コウチーニョ、ウィリアン、ネイマール、ジェズス、ロベルト・フェルミーノの16選手をロシアに連れていくことを発表した。親善試合の結果的にD・コスタが17人目に入る可能性は非常に高い。
チームに欠かせないドウグラス・コスタ(2)
ユベントスの攻撃的なミッドフィールダーは左のウィングで特にドリブルを駆使して、スピードを武器に輝きを見せている。ネイマールの代わりにプレーしても失望させなかった。3-0で勝利したにも関わらず、時折停滞をみせるブラジルに個人のプレーでリズムを与えることができていた。
信頼できるCB
チッチ監督がブラジル代表を引き継いでから、同国は最終ラインが信頼できることで知られていた。19試合中、14試合でクリーンシートを達成している。ミランダとマルキーニョスの組み合わせが最高だったが、T・シウバが見せた素晴らしいパフォーマンスにより、新たな選択しを与えた。2014年のキャプテンがベストフォームに戻り、「ミランダとともに起用するべきではないか?」とチッチ監督は悩んでいるかもしれない。
脆弱なサイドバック
強固なCBとは裏腹に、サイドバックの背後にあるスペースはブラジル代表にとって継続的な懸念材料だ。D・アウベスとマルセロが攻撃参加した後に、相手FWなどがそのスペースを使ってクロスを上げることは珍しくない。特にD・アウベスの最近のプレーは彼の標準的なプレーには遠く、脆弱さを見せている。
著者:チアゴ・ボンテンポ
1985年生まれのブラジル人ジャーナリスト。サンパウロ在住。幼少期よりスポーツとりわけサッカーを愛する。大学時代にジャーナリズムを専攻し2011年よりブラジル『Globo Esporte』で日本サッカーを担当している。ブラジルのボタフォゴ、アーセナル、そして日本代表の熱烈なサポーターである。将来の夢は日本語を流暢に扱うこと、富士山登頂、Jリーグスタジアムを巡ること。
Twitter: @GunnerTNB
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