代表チーム 日本代表

ハリルジャパンの完成度に悲観的になる必要はない。ウクライナ戦の結果より重要なこと

日本代表のハリルホジッチ監督 写真提供:Getty Images

 選手起用を見ても分かる通り、監督はまだどの11人がロシアでピッチに立つべきかの見極めを行っている。大会3ヶ月前の状況としては遅すぎると見ることもできるが、それは致し方ないだろう。今遠征の収穫の一つだった中島翔哉の台頭や、降格の危機に直面するハンブルガーの悪い流れを引きずっているようだった酒井高徳を見ても分かる通り、特に海外組はクラブでの状況がパフォーマンスに大きな影響を及ぼす。昨年の時点では井手口陽介もW杯行きのチケットをほぼ手にした選手だったが、移籍によって居場所を失ってしまった。

 なにより重要なのは、マリ戦も含めたこの2試合でロシアに向かうチームの骨格となるべき選手がよりはっきりとしたことだ。柴崎岳が連携と連動性の不足を指摘しながらも「合宿もありますし、十分に詰めて行ける部分なのでそこはあまり心配していない」と語っている通り、現時点での完成度の低さを必要以上に悲観視する必要はない。

 ファンやメディアからはネガティブな反応も目立つが、期待感が底をついた今こそハリルホジッチ監督は腹をくくって自らの信じる道を進み続けるしかない。だがW杯本大会で強豪国を苦しめるためには、もちろん選手たちが迷いなく監督の示す方向に進んでいくことが条件となる。もし指揮官が全幅の信頼を得られないようであれば、その時こそ四年に一度の大舞台で成功を収めることは難しくなるだろう。

著者:マリオ・カワタ

ドイツ在住のフットボールトライブライター。Twitter:@Mario_GCC

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