あのとき〇〇していれば…。サッカー界では日々多くの「タラレバ」が存在している。あのチャンスでゴールを決めていれば…あの怪我さえしていなければ…。これらは次に活かすという意味では有効であるが、”もう一つの世界”を考え続けることが得策とは言えないだろう。
だが、あえて仮想の世界を考えてみるのも、サッカーを楽しむ一つの方法ではないだろうか?
(歴代ベストイレブンや世界選抜チームの編成などはその際たる例だろう)
まず興味深いデータをご覧頂こう。1試合当たりの推定平均給与を算出したデータである。推定年俸の総額を比較することができる。
セリエA1位ユベントスは約6億8581万円を費やしている。最も低予算で戦っているクロトーネは1試合平均4134万円。約16.5倍もの差がリーグ間に存在している。
一方、Jリーグの1位は浦和レッズの約4086万円。18位のヴァンフォーレ甲府は約1109万円となっている。
その差は約3000万円。浦和レッズはヴァンフォーレ甲府の約4倍の資金を投入している。セリエAと比較すれば、クラブ間格差は圧倒的に少ないと言えそうだ。
あくまで推定の域を出ないが、セリエA20位のクロトーネとJリーグ1位浦和レッズの年俸予算はほとんど変わりがないと言えるだろう。クロトーネと浦和の差はわずか50万円ほど。他スポーツを含めたクラブの年俸予算ランキングでも最も近い数字となっている。
そこで今回は浦和レッズとクロトーネを比較。浦和レッズがセリエAに参入した場合、残留可能なのかを考えてみよう。
プロヴィンチャ(地方クラブの意)の誇りを胸に
では、まずクロトーネとはどのようなチームなのか?FCクロトーネは南部カラブリア州の人口わずか6万人ほどの小さな街に本拠地を構える。
2015/2016シーズンにセリエBを2位で終え、1910年創設以来初となるセリエA昇格の快挙を成し遂げた。セリエAで最も予算規模の少ないクラブとしても知られている。
1部初挑戦となった昨季は下馬評通り苦しいシーズンであった。第29節まで3勝5分け21敗と降格濃厚。しかし、第30節から6勝2分1敗と驚異的な追い上げを見せ、最終節で奇跡の逆転残留を勝ち取った。
今季も第22節終了時点で降格ラインの1つ上の順位(17位)に食い込む粘りを見せている。
両チームの陣容を比較してみよう。まずは浦和レッズ。FIFAクラブワールドカップ2017アルジャジーラとの一戦。直近の試合では4-1-4-1のフォーメーションで挑んでいる。
・市場価値:1億5833万円
・平均年齢:29.7歳
一方、クロトーネも4-1-4-1のフォーメーション。セリエA第22節カリアリ戦のスタメン11名だ。
・市場価値:2億7607万円
・平均年齢:25.9歳
浦和レッズとクロトーネの年俸がほぼ同額であることを考慮すれば、平均年齢と市場価値で大きな差がついていると言えるだろう。
クロトーネ在籍選手市場価値ランキング
1位.マンドラゴラ(400万ユーロ)
2位.リッチ(300万ユーロ)
3位.ベナリ(250万ユーロ)
4位.トロッタ(250万ユーロ)
5位.ストヤン(200万ユーロ)
6位.バルベーリス(200万ユーロ)
7位.チェッケリーニ(200万ユーロ)
8位.マルテッラ(170万ユーロ)
9位.ブディミル(150万ユーロ)
浦和レッズ在籍選手市場価値ランキング
1位.柏木陽介(175万ユーロ)
2位.興梠慎三(165万ユーロ)
3位.槙野智章(165万ユーロ)
4位.西川周作(145万ユーロ)
5位.遠藤航(145万ユーロ)
6位.マウリシオ(135万ユーロ)
7位.武藤雄樹(125万ユーロ)
8位.岩波拓也(125万ユーロ)
9位.マルティノス(110万ユーロ)
クロトーネの市場価値上位4名は全員他クラブからの期限付き移籍で加入している選手。レンタル補強で給与を浮かすクロトーネ独自の経営戦略が垣間見れる。
保有権を持つ選手で限定すれば、浦和レッズ在籍選手の市場価値とそれほど差がないことがわかる。
”仮に”浦和レッズがセリエAに参入し、レンタル数名の若手選手を補強できれば市場価値的には全くの同価値となるだろう。
浦和レッズは市場価値の面、給与の面でもクロトーネと極めて近い数字であることが明らかとなった。(仮に)浦和レッズがセリエAへ参入すれば、クロトーネと同様の活躍が期待できるかもしれない。
つまり今季のセリエAでクロトーネは17位。浦和レッズが参入すれば、17位に食い込み残留できる可能性が高いのではないだろうか。
サッカーの世界に「タラレバ」は存在しない。だが、あえて空想の世界を考えてみるのも、サッカーを楽しむ一つの方法かもしれない。
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