3-4-2-1
ドルトムント(とムヒタリアン)を指導していた当時、トーマス・トゥヘルは5-4-1を基本フォーメーションとして使用した。2016年3 月5日のバイエルン・ミュンヘン戦もそのひとつだ。
ドルトムントのセンターバックがボールを持ち攻撃を組み立てようとする時、フォーメーションは3-4-2-1へと変化する。ムヒタリアンは右サイドに位置しながら、伝統的な右ウイングとは違う働きをしていた。ボールのあるなしに関わらず、彼は下図のように中央へ入っていく。右サイドに位置していながら、ムヒタリアンはハーフスペースに入ってそこを活用していた。なぜだろうか。
ムヒタリアンはクレバーな選手であり、スペースを読んで使うための知性を持っている。中に入ることで彼は簡単にドリブルでき、相手のディフェンスラインを崩してチームを前に進めるためのスペースを見つけることができる。ドリブルは彼の最大の長所のひとつであり、プレッシャーにも強い。
ムヒタリアンが右サイドのライン際でプレーするとスペースが制限されるのを解消するため、トゥヘルは彼にハーフスペースに入るよう指示した。ハーフスペースは良いスタートポジションだが、サイドバックが積極的に彼の空けたスペースをカバーする必要がある。
映像を見ると、ドルトムントのセンターバックがボールを持った時にエリック・ドゥルムが急速に前に進んでいるのが分かる。同時にムヒタリアンは中に入ってボールを受けている。ドゥルムが上がっていなければ、相手はムヒタリアンだけに注意すればいいことになってしまう。
ベンゲルがこのアプローチを使うとすれば、エクトル・ベジェリンはボールとムヒタリアンの動きに細心の注意を払う必ある。幸運にもアーセナルのサイドバックはトランジション時にワイドの選択肢を作るために高いポジションを取るので、こうした動きには慣れている。
以上の理由からアーセナルが3-4-2-1を使うのであれば、ムヒタリアンは容易にチームに溶け込むことができるだろう。またこのフォーメーションであれば、ムヒタリアンは左サイドでも同様に起用することができる。ただ左サイドバックのセアド・コラシナツ、エインズリー・メイトランド=ナイルズ、ナチョ・モンレアル は異なるスタイルを持つため、ベンゲルはその調整に苦心するかもしれない。
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