プレミアリーグ リバプール

クロップ監督にこれ以上言い訳は許されない。失敗積み重ねリバプールはCL権逃す危機に

クロップ監督にこれ以上言い訳は許されない

著者:ニール・ハンフリーズ
イギリス・ダゲナム出身。シンガポールのベストセラー著者の一人。小説4作品を執筆し「プレミアリーチ(2011)」は英メディア「FourFourTwo」の2012年の英国年間最優秀フットボール小説賞を受賞した。テレビ番組での脚本やホストも務め、シンガポール、マレーシア、オーストラリア、英国といった国々でも幅広く活躍している。
Twitter: @NeilHumphreys

 ユルゲン・クロップ監督はボルシア・ドルトムントで素晴らしい成績を残したが、そうした過去の栄光も消え去ろうとしている。仮に今すぐリバプールの監督にふさわしい人物が現れたとすれば、ファンは監督交代を要求するだろう。ドイツ人監督はドルトムントで得た過去の栄光や世界的な知名度にすがっているのではないだろうか。現在、彼が解任されていないのはラッキーともいえるほどだ。彼は解任には値しないかもしれないが、少なくとも、彼とリバプールというクラブの将来について真剣に考える必要はあるだろう。現在のリバプールの方向性は不透明なものになっており、それは統計上の数字を見ても明らかだ。

 リバプール監督就任後、78試合を戦い、クロップ監督が得た勝ち点は137ポイントである。同試合数でのスペイン人指揮官ラファエル・ベニテス監督の成績は144ポイント、北アイルランド人指揮官ブレンダン・ロジャース監督は148ポイントだった。ベニテス監督とロジャース監督はクロップ監督以上の成績を残していたが、最終的にリバプールは彼らに別れを告げることを決意した。一方、先日トッテナム・ホットスパーに4-1の大敗を喫したにも関わらず、クロップ監督を批判する者はいない。リバプールは負けが許されるようなチームではない。トッテナム戦のような敗戦を避けるためにも、我々はドイツ人監督に真剣に質問を投げかける必要がある。

 リバプールでクロップ監督が犯した失敗について考えてみようではないか。トッテナム戦、デヤン・ロブレンは致命的なミスを犯し、2ゴールを相手に献上した。彼は厳しい立場に置かれてしまったが、そういった危機的な状況に彼を追いやったのはクロップ監督だ。ロブレンは背中の怪我を抱えたまま、プレーを続けてきた。10月初旬のワールドカップ欧州予選でもクロアチア代表として召集されたロブレンだが、決して良いパフォーマンスではなかった。それにも関わらず、クロップ監督は彼を起用し続けているのだ。ロブレンは何とかその彼の期待に応え、ピッチに立つために、毎試合痛み止めの注射を打ち続けている。背中の痛みを抱えながら、必死にプレーしているのだ。

 クロップ監督がロブレンを起用し続けなければならないのは、夏の移籍市場でリバプールが彼の代役を見つけることができなかったためだ。移籍期間中、彼らはサウサンプトン所属フィルジル・ファン・ダイクという1人のセンターバックを必死に追い続けた。まるで世界中で彼だけがセンターバックの選手であるかのように。クロップ監督の獲得候補リストにはファン・ダイクの名前しかなかった。彼の獲得を断念したクロッップ監督は、明らかに難のあるデヤン・ロブレンに頼ることを決意したのだ。

 リバプールがトッテナム相手に4失点をしてしまったというのも別の問題だ。4バックの前をカバーできる守備的なミッドフィルダーの選手がチームに存在していないというのがその理由だろう。チェルシーにはエンゴロ・カンテ、マンチェスター・ユナイテッドにはネマニャ・マティッチ、マンチェスター・シティにはフェルナンジーニョといった選手が存在する。一方で、リバプールにはそういった選手が存在しない。彼らも過去にスティーブン・ジェラードという素晴らしい選手を抱えていたが、彼は既にピークを過ぎた選手だった。彼らはジョーダン・ヘンダーソンという素晴らしい攻撃参加を見せる選手がいるが、守備的な役割を的確にこなすことはできない。カンテ、マティッチ、フェルナンジーニョのような守備のできる選手ではないのだ。

 トッテナム戦、前半30分のうちにトッテナムがリバプールの4バックの裏を突くようなシーンが5度もあった。それほどリバプールの4バックは無防備な状態にあるのだ。これは、センターバックも、守備的なミッドフィルダーも獲得しなかったクロップ監督のミスだろう。

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