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モウリーニョはなぜ“2年目”に強いのか。チェルシー時代の2年目プレミア優勝年との共通点【MatchSTORY】

 ジョゼ・モウリーニョ監督が“2年目”に強いことは有名だ。インテル、レアル・マドリード、チェルシー…監督キャリアを通じて就任2シーズン目に必ずといっていいほどタイトルを手中に収めている。昨季より就任したマンチェスター・ユナイテッドでもその栄光のジンクスを虎視眈々と狙っている。

 ユナイテッドはこの夏はDF、MF、FWの各ポジションで主力選手を1人ずつ獲得している。その獲得選手の名前をみると、どこかチェルシー2シーズン目の夏のマーケットで獲得した選手との共通点が見えてくるだろう。

 前線ではエバートンからベルギー代表FWロメロ・ルカクを7500万ポンド(約100億円)という大金を費やして獲得している。2014/2015シーズンのチェルシー時代にはアトレティコ・マドリードからFWジエゴ・コスタを獲得。両ストライカーともにゴール前やその手前のエリア、サイドでの強靭なフィジカルを生かした突破力を武器としており、モウリーニョの「好み」であるのかもしれない。そのルカクはここまで公式戦7試合全てフル出場で7ゴールをマーク。早くも点取り屋としての役割を果たしているだけでなく、ユナイテッドの前線4枚が流動的なポジションをとる戦術にもフィットしているようだ。

 中盤ではチェルシー指揮官復帰1年目にあたる2013/2014シーズンの夏に獲得したセルビア代表MFネマニャ・マティッチをこのユナイテッドでも再び獲得している。同選手は中盤センターで相手ボールホルダーへの素早い寄せからボールを奪うフィルターとして機能しているだけでなく、ビルドアップ時にはサイドへの正確なロングフィードで局面を大きく変えることができる。特筆すべきは、マティッチ加入で中盤で攻守のバランスをとりやすくなったことにより、フランス代表MFポール・ポグバやベルギー代表MFマルアン・フェライニがゴール前へ顔を出す場面が増えたことだ。振り返ると、少しタイプは違うかもしれないがモウリーニョはチェルシー2年目でもスペイン代表MFセスク・ファブレガスという中盤でのバランサーを獲得、同選手はチェルシーのリーグ制覇に大きく貢献している。

 ユナイテッドはこれらの新戦力がチームにフィットしたこともあり、プレミアリーグで4勝1分と首位を走っている。またUEFAチャンピオンズリーグではグループステージ第1節バーゼル戦で快勝と幸先の良いスタートを切っている。ただモウリーニョは、「(レアル・マドリード、バルセロナ、バイエルンなどと比べて)我々はまだトップレベルに及ばない」というコメントを残しており慎重な姿勢を崩していない。また今後の過密日程に対する警戒感を現時点から何度も口にしている。すでにバーゼル戦ではポグバがハムストリングスを負傷、約6週間の離脱を強いられており、今後怪我人への注意を払いたいと考えているようだ。

 モウリーニョ監督は今夏サッカー史上初めて移籍市場に10億ユーロ(1320億円)を投じた監督となったことで話題を呼んだ。積極補強を繰り返すだけに、陣容が整う“2年目”に確実に結果を出してくるというわけだ。これからリーグカップ戦やCLなどほぼ毎週のようにミッドウィークに試合を控える中、モウリーニョ監督のチームマネジメントに注目したい。