アジア 代表チーム

サッカー日本代表、若手台頭で質が向上。本田&香川不在でも“ミッション完了”

浅野拓磨(左)と井手口陽介(右) 写真提供:Getty Images

 ゴールを決めたのは、さらに異なる若手2選手で、浅野拓磨(前半41分)と井手口陽介(後半37分)が来年のロシア大会への道を開いた。どちらのゴールも重要な局面で決められた。前半は、日本がアイディアを出し尽くしたように見られた頃、長友佑都のクロスの先にシュトゥットガルト所属の浅野が飛び出てネット奥に見事にヒットさせる。2度目のゴールは、ガンバ大阪所属の井手口による約18メートルの距離からの美しいシュートで、オーストラリアのチームが同点に向かって邁進している時だった。実際何度か同点に近づいてもいた。

 しかし試合90分後、日本はワールドカップ最終予選史上はじめてオーストラリアに勝利となった(同試合以前は5分2敗)。それだけでなく、彼らは気分良くプレッシャーも全く無しに、次のサウジアラビアへと向かうことができる。

 全体的なパフォーマンスは完璧ではなかったが、現在のSAMURAI BLUEの可能性を見ることができた試合であった。本田や香川や原口元気といった選手らがベンチにおり、清武弘嗣など負傷中の選手もいる中で、日本代表の質はむしろ最近向上していると言えるのではないか。井手口などの若い選手らがチームに新鮮味を加えている。

 しかしアジアではハイレベルな戦いをすることができたとしても、来たるワールドカップはそう簡単にはいかないだろう。日本代表チームを待ち受けているのは、異なるプレイスタイルとより高い技術だ。マシュー・レッキーやティム・ケーヒルではなく、クリスティアーノ・ロナウド、リオネル・メッシ、ネイマールといった名前が相手となる。日本は、特に守備面で準備が必要だ。ほんのわずかなミスが相手のゴールに繋がるからである。

 ブンデスリーガ、リーガ、プレミアリーグなど、ヨーロッパのビッグリーグでプレー経験を積んでいる選手がたくさんいることは、このあとのビッグイベントに向かったチームの準備となる。次の水曜日に行われるサウジアラビア戦は、ハリルホジッチ監督にとって何か新しいことを試す機会となるだろう。もはやそれほど重要ではなくなった試合のため、他の選手達にも能力を示すチャンスが与えられる。もちろん最終予選の締めくくりは勝利で終わりたいだろうが、もし敗北となっても誰もそこまで怒ったり動揺したりはしないだろう。グループBの1位はもう奪われることはないのだ。ミッション完了である。

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