“未知の若手”加入に様子見の独メディア
著者:キム・デンプフリング
ドイツ誌『キッカー』オンライン版の編集者。日本語を勉強していたこともあり、大阪で1年間の留学、徳島で1年間の仕事を経験している。スポーツ報知などの日本メディア向けのブンデスリーガの特派員としての経験を経て、日本代表FW乾貴士(アイントラハト・フランクフルト所属時)や大迫勇也(1860ミュンヘン所属時)といった選手の通訳としても活躍した。
関根貴大とは何者なのか。この質問が浦和レッドダイヤモンズのMF関根のドイツ・ブンデスリーガ2部インゴルシュタット移籍に対するドイツメディアの印象全てを物語っているだろう。この22歳の選手は日本のコアなサッカーファンの間のみで知られている選手であり、誰もがその名を知る選手ではない。ドイツ紙『ビルト』は、ドイツ国内でプレーする選手たちの中ではかなり身長の低い部類に入る167cmの関根を『ドワーフ(神話や民話に登場する人間より少し背の低い種族)』だと表現している。
現地メディアは、この新加入の日本人選手から何が期待できるのかまだ把握していないとようだ。今回の移籍決定後すぐに現地のあるジャーナリストに質問をしてみたが、「申し訳ないが、我々はまだ関根について何も知らないので、コメントは控えさせてほしい」という返答であった。
彼は代表選手でもなく、ドイツ国内でのJリーグに対する関心も高くないため、関根に関する話題もほとんどゼロに等しい。今回の契約により、そういった状況も改善される可能性もあり、その上で、彼が自身のスキルをピッチで披露することによって、やっと彼がインゴルシュタットの戦力となり得るのかどうかということを人々が議論し始めるだろう。現状、インゴルシュタットは開幕2連敗という思わしくないスタートとなってしまっている。
今シーズン、関根は3-5-2のおそらく右ウイングバックのオプションの選手として考えられているが、左のウイングバックとしての起用もあるかもしれない。関根の最大のライバルとなるのは、フロレント・ハテルギョナイかと思われたが、彼は移籍を志望している。クラブが23歳と若い彼を移籍させたくはないかもしれないが、退団となる可能性も否めない。シュテファン・レックスもまたライバルとなり得る選手の1人ではあるが、関根がマイク・ヴァルプルギス監督を始めとするコーチ陣の期待にどれだけ応えられるかということに懸かっているだろう。仮にヴァルプルギス監督が関根を左ウイングバックの選手として考えるのであれば、マルセル・ガウスと新加入のパウロ・オクタヴィオとポジションを争うことになるだろう。
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