プレミアリーグ エバートン

ルーニーがエバートンに復帰した本当の理由。敬意を奪われた伝説の未来

ウェイン・ルーニーはエバートンで活躍できるか

○○ 写真提供:Getty Images

 当然、ルーニーの心配はレジェンドとして扱われるのかどうかということではなく、ロナルド・クーマン監督のチームにどのようにフィットするかという点である。エバートンはデイビ・クラーセン、マイケル・キーン、ジョーダン・ピックフォード、サンドロ・ラミレスといった選手たちの補強に巨額を投じ、スウォンジー・シティからギルフィ・シグルズソンの補強までも噂されている。

 GKピックフォードを除いた残りの選手たちにはある共通点がある。それは、彼らはスピードがあり、運動量も豊富だという点だ。彼らはクーマンの素早いカウンターとプレスを特徴としたスタイルにフィットするスキルと特徴を兼ね備えた選手たちである。いわば、ルーニーの年齢、スピード、運動量といった点を考えると彼がチームにフィットすることができるのか、疑問が残る。

 システムは別にして、ルーニーが出場することはできるのだろうか。仮にラミレスがフィットし、好調であれば、彼は出場機会を得るだろう。ヤニク・ボラシエが復帰すれば、彼も出場することになるだろう。ロス・バークリーもまた、彼が本来のフォームを取り戻しさえすれば、プレーすべき選手である。昨シーズン、アデモラ・ルックマン、トム・デイヴィスの2人は急成長を遂げている。ルーニーはラミレス、ボラシエ、バークリー、ルックマン、デイヴィス、(加入すれば)シグルズソンといった選手たちとの厳しいポジション争いをすることになる。加えて、10月にルーニーは32歳を迎える。

 エバートンでの出場のチャンスは、ルーニーがどこのポジションでプレーするかに左右されるだろう。クーマンは頭の悪い監督ではない。ルーニーがキャリアのピークを過ぎた選手だということは認識している。彼は『ルーニー・マークⅡ』と契約したのだ。それでも、我々はルーニーのこれまでの実績も忘れてはならない。ユナイテッドで253得点を記録し、5度のプレミアリーグ優勝、チャンピオンズリーグ優勝、ヨーロッパリーグ優勝、FAカップ優勝、3度のリーグカップ優勝、クラブワールドカップ優勝、2度の年間最優秀若手選手賞、FWA年間最優秀選手賞といった数々のタイトルを獲得してきた選手である。当時18歳の彼はユナイテッドでのデビュー戦となったフェネルバフチェ戦でハットトリックを達成。マンチェスター・シティ戦でのオーバーヘッドキックはユナイテッドで26年間監督を務めたサー・アレックス・ファーガソン氏に「オールド・トラッフォードで目にした最も素晴らしいゴールだ」とまで言わせたほどだ。

 ルーニーはその才能、レベル、プレーの質を証明した。彼のスピードは衰え、年も取ったが、クーマンはそれを踏まえた上で、経験豊富なベテランのルーニーを獲得している。リーズ・ユナイテッドはベテランのゴードン・ストラカンとともにリーグ優勝を果たした。リヴァプールもベテランのガリー・マカリスターとともに3冠を達成。ウェストハム・ユナイテッドもベテランのテディ・シェリンガムとともに昇格を果たしている。彼らはいずれも若くスピードのある選手ではなく、経験豊富で、チームの精神的支柱となる多才な選手たちである。

 ルーニーの器用さは彼の大きな長所となっている。近年、彼はユナイテッドでセンターフォワード、両ウイング、トップ下、ボランチといった複数ポジションをこなしている。こうした点では、エバートンでも重宝されることだろう。

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