ラ・リーガ レアル・マドリード

Cロナウドがレアル退団を熱望する理由。税金ではない“真の問題”

 むしろ問題なのは、お金ではなくマドリディスタ(レアル・マドリードのサポーター)たちとの関係である。C・ロナウドを支持するサポーターはあくまで少数派であり、アルフレッド・ディ・ステファノ、フェレンツ・プスカシュやラウールといった選手たちのような評価を受けることはまずないだろう。逆に、昨シーズンも自己主張が強く、チームプレーに徹していないとされ、C・ロナウドはブーイングまで浴びている。CL最終ステージのユベントス、アトレティコ・マドリード、バイエルン・ミュンヘンといったビッグクラブ相手に10得点、出場した全大会で42得点(25得点でリーガ優勝、12得点でCL連覇に貢献)を記録し、バロンドールを再び獲得するとみられているにも関わらず、未だにマドリードの若者たちの嘲笑の的となっているのだ。

 こうした理由から、C・ロナウドが退団を志願するのは当然とも思えてくる。マドリードは彼を公平に扱ってこなかった。尊敬されるべきでありブーイングの対象となるべきではない。正当な評価をされていないだけにC・ロナウドが怒るのも無理もない。

 では、移籍先となるのは、どこのクラブになるのか。PSG、中国、その他のクラブは忘れてしまった方が良いだろう。なぜなら、彼の行き先はひとつしかないからだ。そう、マンチェスター・ユナイテッドである。いくつか情報によると、彼は何ヶ月かに渡り、元ユナイテッド監督のアレックス・ファーガソン氏と連絡を取っているようであり、今でも両者は非常に親しい仲であるとされている。以前は(監督と選手という)師弟関係とされる関係だったかもしれないが、今ではよりフラットな間柄となっている。C・ロナウドは前監督を信頼しており、ファーガソン氏もジョゼ・モウリーニョ監督の相談役となっている。つまり、ファーガソン氏とC・ロナウドの両者は相思相愛といえるだろう。

 しかしながら、C・ロナウドは以前オールド・トラフォードでプレーしていた頃と同じ選手ではないという大きなリスクもある。ユナイテッドは2008年に31得点を決めたウインガーと契約するのではない。今となっては、別の選手であり、C・ロナウドはペナルティエリアで決定的な仕事をする選手へと変貌を遂げている。

 今シーズンのズラタン・イブラヒモビッチも年齢を感じさせないプレーを見せつけた良い例であった。35歳となったイブラヒモビッチはシーズン28得点を記録しており、33歳のC・ロナウドでさえ、素晴らしいストライカーになり得ることを証明している。

 現状、ユナイテッドは5200万ユーロ(約65億円)でマドリードのアルバロ・モラタにオファーを提示しているが、マドリードは8000万ユーロ(約100億円)を要求している。C・ロナウドはモラタより年齢が上であるが、コストも倍近くになるだろう。しかしながら、モラタを獲得するのであれば、年齢がどうであれ、C・ロナウド獲得を目指すべきではないだろうか。

 同時に、ユナイテッドは週給約40万ポンド(約5,600万円)とされるC・ロナウドの給与を支払うことができる数少ないクラブである。イブラヒモビッチ退団、ウェイン・ルーニーの退団の可能性を踏まえると、彼らはある程度の資金を捻出可能だと思われる。そういった資金繰りだけでなく、C・ロナウド加入により、世界的なグッズなどの販売促進による収入を見込むことのできるクラブでもある。

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