セリエA ナポリ

DR.TRIBE【試合診断書】セリエA第21節 ミラン対ナポリ

大会:セリエA
カード:ミランvsナポリ
スコア:0-0
担当医:菊池大将(@yukkenokonoko
【分析内容】
・マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM)
・ザ・ハード・ワーカー(THW)
・モースト・ディサポインティング・プレーヤー(MDP)
・両チームの攻撃vs守備
・両チーム監督
・主審


マン・オブ・ザ・マッチ(MOTM):ジャンルイジ・ドンナルンマ

素晴らしいポジショニングと反応の速さ、キャッチングのうまさで多くのピンチをしのいだ。6セーブと数字にも表れている。こういった試合展開の中で、信頼できるGKがいることは大きい。

ザ・ハード・ワーカー(THW):ピオトル・ジエリンスキ

うまくポジションを取りながら長短のパスでミランの守備ブロックを翻弄。左足でも威力と精度を落とさずにキックできる彼の長所が存分に生きた。ミドルシュートの精度も高く、両チームの選手最多の5本のシュートを記録。ミランのゴールを脅かした。

モースト・ディサポインティング・プレーヤー(MDP):パトリック・クトローネ

カリドゥ・クリバリの執拗なマークもあり、ポストプレーの精度を欠くシーンが目立った。シュートチャンスでも正確にミートできないシーンが多く、ストライカーとして怖さはなかった。


ミランの攻撃vsナポリの守備

ナポリの高い位置からのプレスに対して、いつも通りしっかりとつなぐビルドアップを見せたミラン。ハカン・チャルハノールがサポートに入り、アンカーのティエムエ・バカヨコがナポリの選手から逃げながらパスコースを作ることで、ビルドアップ時に大きなピンチを招くことはなかった。ナポリは前線の2枚がバカヨコをケアしながらショートカウンターを狙ったが捕まえきれず。ビルドアップのサポートに入ったチャルハノールは幅広いエリアに顔を出しながら、ルーカス・パケタとのコンビネーションを中心にチャンスを演出。ナポリとしては中間ポジションを取るパケタを捕まえきれず、ピンチを招いた。

クトローネへの楔のパスも積極的に狙ったミランだが、クリバリのタイトなマークに苦戦。ポストプレーの精度が落ち、ボールを再回収されるシーンが目立った。それでも楔のボールにより前への推進力が生まれたミランはニュートラル気味のボールを拾ってチャンスを広げている。スソがボールを持った際のダビデ・カラブリアやフランク・ケシエのオートマチックな攻撃参加は迫力があったが、細かいプレーの精度に欠き、得点にはつながっていない。

後半はクトローネがサイドに顔を出す回数が増えたミラン。ケシエとパケタがエリア内にしっかりと顔を出すことで、迫力を失うことはなかった。クシシュトフ・ピョンテク投入後は、同選手へのロングパスも増えている。ただ、ミランの守備の仕方が少し変わったことで、ナポリが主導権を握る時間が長かった。ナポリは高い位置からで守備への切り替えが早く、ミランのカウンターの1つ目のパスの精度を落とすことに成功した。


ナポリの攻撃vsミランの守備

ファビアン・ルイスをアンカー気味に配置し、両サイドバックが幅を取りながらビルドアップを行ったナポリ。ミランは4-1-4-1を基本としながらも、高い位置ではサイドに応じてケシエかチャルハノールがクトローネとともに最前線からプレスをかけ、4-4-2の形で応戦した。ロレンツォ・インシーニェを左サイドに配置し、ファーサイドへのクロスを狙いとしていたナポリだが、ミランがインシーニェのマークの受け渡しをしっかりと行ったため、決定機に繋がったシーンはそれほど多くなかった。マリオ・ルイがそれほど高い位置を取り切れていなかったことも影響しているだろう。ただ、右サイドは比較的攻撃時は機能した。ケビン・マルキュイが高い位置を取ることでミランDFを引き付け、中央の選手とのコンビネーションでホセ・カジェホンをサイドでフリーにすることに成功している。

ナポリはインシーニェ、ドリース・メルテンス、アルカディウシュ・ミリクの距離感が悪かったこともあり中央からの攻撃には苦戦。ケシエとバカヨコがしっかりと中央の門を閉じていたこと、マレク・ハムシークの不在も影響しているだろう。

後半はミランが4-1-4-1の守備ブロックの外側でナポリにボールを回させるディフェンスにシフト。ナポリはファウジ・グラムを投入し、変化をつけて攻略に挑んだ。グラムがより高い位置をとることで自由度の高くなったインシーニェを中心にミランの守備ブロックやペナルティエリアを斜めに分断するパスが増え、ミランは対処に苦しんだ。パスのレンジがあるジエリンスキがサイドチェンジを多用し、横パスでミランの選手の目線をずらしながら斜めにボールを入れることで多くの決定機を演出している。ただ、最後までドンナルンマが冷静さを失うことはなかった。


ミラン監督:ジェンナーロ・ガットゥーゾ

ナポリの良さを消すだけではなく、ルーカス・パケタが加入し、よりテクニカルになったミランのフットボールをしっかりと展開。信じて使い続けたチャルハノールが素晴らしいパフォーマンスを見せているのは喜ばしいだろう。また、ナポリという難敵を相手に新戦力クシシュトフ・ピョンテクを試せたのも大きい。プレースタイルが似ているとされているクトローネとピョンテクだが、やはり違いは表れた。今後の大きな可能性の1つとなるだろう。


ナポリ監督:カルロ・アンチェロッティ

アランが起用できないということで、中盤での主導権を握り切れなかったナポリ。ファビアンが早々にイエローカードをもらったことも大きいだろう。それでもクトローネにはクリバリを徹底的に付きまとわせ、決定的な仕事はさせないなど対策は講じている。ハムシークの不在で中盤に創造性が足りないところもあったが、後半はしっかりと修正。ミランの守備ブロックの外側からミランの守備組織を破壊することに成功した。得点が生まれなかったのは不運だ。


主審:ダニエレ・ドベリ

試合を通していい意味で目立たなかったが、最後の最後で嫌な目立ち方をしてしまった。ファビアン・ルイスへの2枚目のイエローカードはいささか厳しすぎる判定に見えた。ファビアンは故意にハンドをしたわけではないだろう。また、時間が少ない中でゴールからかなり遠い位置のFKのボールの置き所を細かく修正するなど、神経質な一面も見せている。


名前:菊池大将
趣味:サッカー観戦、映画鑑賞、読書
好きなチーム:ACミラン
幼少期に父親の影響でミランが好きになりました。アイドルはシェフチェンコ。パッション、データ、経済、カルチャー、サッカーの持つ様々な表情を見るのが好きです。よろしくお願い致します!

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