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日本代表の上田綺世、フェイエノールトでベンチ待機から得点王へ

上田綺世 写真:Getty Images

 オランダ1部エールディビジのフェイエノールトに所属する日本代表FW上田綺世は、リーグ第7節終了時点で得点ランキング首位に立っている。7試合で6ゴールを挙げ、フローニンゲンのFWブリュニョールブル・ウィルムソンを1点上回った。9月28日のフローニンゲン戦(1-0)でも決勝ゴールを決め、チームに勝ち点3をもたらしている。

 2023年夏に上田はベルギー1部セルクル・ブルージュからフェイエノールトへ移籍した。移籍金は800万ユーロ(約14億円)で、当時の移籍金クラブ歴代最高額を更新した。加入当初は期待値が大きかったものの、メキシコ代表FWサンティアゴ・ヒメネス(現ミラン)が不動の1トップを務めていたため、上田は長期間ベンチで出番を待つ状況が続いた。

 転機は昨2024/25シーズンの2月、ヒメネスがセリエAのミランへ移籍した時に訪れた。上田はここで真の1トップを任されることになったが、昨シーズン後半戦はまだぎこちない場面も見られた。しかし今2025/26シーズンに入り状況は大きく変化している。NACブレダ、エクセルシオール、スパルタ・ロッテルダム、フォルトゥナ・シッタート、フローニンゲンを相手に立て続けにゴールを記録し、安定感を示している。

 上田の決めたゴールはいずれも派手さはなく、世界中で拡散されるようなスーパーゴールではない。しかしストライカーに求められるのはゴールを奪うことであり、上田はその役割を確実に果たしている。右足で3ゴール、左足で2ゴール、さらにヘディングでも2ゴールを記録し、まさに万能型のフィニッシャーだ。

 オランダメディア『1908.NL』では上田について、「プレーの幅が広がっている。ポストプレーで身体の使い方が向上し、相手を背負いながら展開を作る動きがスムーズになった。ハードワークを惜しまず、試合を広げる働きもこなし、何よりゴールでチームを勝利に導いている」と評価した。

 上田がクラブへの適応に時間を要した時期は過ぎ去り、今の上田はリーグ戦やKNVBカップだけでなく、欧州の舞台や日本代表でも重要な役割を担える存在となりつつあると期待されている。